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岡崎慎司が語る「特徴のない日本代表が“負けない集団”になった理由」

岡崎慎司が語る「特徴のない日本代表が“負けない集団”になった理由」

2018/06/25
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 後半33分だった。

 右サイドからの大迫勇也のクロスが左に流れると、そのボールに追いついた乾貴士がふたたび中に折り返した。

 ゴール前にいた岡崎慎司は、その瞬間、足で行こうと思った。

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「クロスから自分が点を取れるところにいようと思っていて、その時も目の前にボールが来たんで、咄嗟に足を出したんですけど……」

「潰れるプレー」でチャンスをつくった岡崎(奥) ©JMPA

 だが、GKが前に出てきて衝突。

 結果的にこれがGKを潰すことになり、逆サイドにいた本田圭佑の前にボールが転がった。岡崎が倒れている中、本田がW杯3大会連続となるゴールを決めた。

 2-2の同点だ。

本田が2-2に追いつくゴールを決めた ©JMPA

 すぐに本田を中心に大きな選手の輪が出来た。

 そして、本田が岡崎と顔を合わせるとふたりで「敬礼」ポーズを取った。本田が「やろう」と言ってきたというが、それは2015年のアジアカップ以来、3年ぶりの敬礼だった。

 このゴールを見て、8年前のあるシーンを思い出した。

 2010年の南アフリカW杯、デンマーク戦の3点目のシーンだ。本田がゴールを決められたが、あえてフリーの岡崎にパスを出した。その時、岡崎は本田から「ラッキー」な1点をもらい、本田は「岡崎に最初は出すつもりなかった。こういうところが自分のまだまだなところ」と岡崎に出したことを反省していた。だが、それは同級生で当時、ポジションを失い、苦しんでいた岡崎にみせた本田の優しさだったのだ。

岡崎のプレーを理解しているからこその「敬礼」ポーズ

 そして、このセネガル戦の本田のゴールである。

 このゴールは乾のアシストで岡崎がアシストしたわけではないが、40%ぐらいは岡崎の潰しが利いている。そのプレーを本田は理解しているからこそ岡崎に「敬礼」のポーズを一緒にやろうと伝えたのだ。

 岡崎は、ゴールを決めた同級生を讃えた。

「自分が潰れたのは、アシストがつかないし……。でも、まぁ単純にあの緊張した場面でゴールを決めること、あそこにボールが転がってくるということは、あいつのW杯への強い想いがあるからだし、そういう選手っていないと思うんです。3大会でアシスト、ゴールともに結果を出せるというのはチームに本当にたくさんのものを与えるし、同級生として素晴らしいなと思います」

アジアカップ以来、3年ぶりの敬礼 ©JMPA