「あれから少しずつではありますが、劇団員の労働環境は改善してきています。無理な過重労働もなくなりつつある。でも、一方でまた昔に戻ってしまうんじゃないかと思うこともあります。この間は、あの宙組の元プロデューサーが、劇団の広報の責任者に“出世”したのです。イジメ事件の時に何もしなかった人が、よりにもよって劇団の危機管理の先頭に立つなんて、と劇団内では動揺が走っています」(宝塚歌劇団関係者)
現役の宙組生・有愛きい(享年25)さんが自ら命を絶つという痛ましい事件が起きたのは2023年9月のこと。「週刊文春」では、有愛さんの自殺の背景に、上級生からの苛烈ないじめがあったこと、有愛さんが劇団にそのことを訴えたものの事件に蓋をし続けてきたことなどを報じてきた。
その後、有愛さんの遺族は『週刊文春』が2023年2月に報じた「ヘアアイロン事件」を含め、人格否定のような罵倒など、15のパワハラ行為があったと主張。一方、劇団は、ヘアアイロン事件を「事実無根」とし、上級生によるパワハラを否定してきた。
半年にわたる協議の末、2024年3月28日、劇団は遺族が主張してきた上級生らによるパワハラ全てを認め、阪急阪神ホールディングスの角和夫会長(当時)が遺族に謝罪した。
それから1年以上が経ち、劇団は新たな岐路に立っている。
