玉木氏の驚きの不倫現場

 その2か月後に朝日新聞に登場した際、不出馬の理由には「国会議員がJRを無料で利用できる『特殊乗車券』の私的利用やプライベートに関する週刊誌報道が背景にあったのでは」と質問されると「それが理由ではない」と答えている。「このまま国会議員や野党としての仕事を漫然と続けても、これ以上自分の成長や社会貢献は望めないと感じたからだ」という。

議員パスを提示して入場していた山尾氏 ©文藝春秋

 しかし山尾不出馬を聞いたとき「このまま説明せずに逃げ切るため」「ほとぼりを冷ますため」と感じた方も多いはずだ。あれから4年経ち、今回参院選に出馬することになった。

 山尾氏からすると人々が何かを忘れる期間は「4年」という判断なのだろうか? だが説明しない期間が4年加算されただけだ。記録は更新中である。もし議員に返り咲いたとしても、自身の「政治とカネ」と「公私混同」を公の場で説明しない人から今後どんな説得力が生まれるというのだろう。山尾氏と言えば最近は緊急事態条項について発言しているがまずご自分の緊急事態について説明したらどうか。ずっと非常ベルが鳴ってますよ。

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 あと、議員パス不正使用発覚の前から山尾氏には疑問に思っていたこともある。民進党時代に幹事長内定が流れた直後に出た密会報道だ。驚いたのは2人の密会場所が「カジュアルな雰囲気の店内」と書かれたイタリアンレストランだったこと。

 いかにも「撮ってください」という場所ではないか。政治家の危機管理としてどうなのかと疑問だった。この感じ、最近も既視感があると思ったら同じく国民民主党の玉木雄一郎氏だ。不倫現場が撮られたが、昨年の衆院選投開票直後でいわば“玉木氏史上”もっとも世間から注目されていた時だった。場所も新宿のワインバーでいかにも見つかりやすそう。その迂闊さ、軽さに驚いた。

 こんな感覚で本当に生活や危機管理を論じられるのかと思ったが、今回山尾志桜里氏を出馬させることでいよいよ認識が問われるのではないか。

 というわけで今回は下村博文、甘利明、山尾志桜里氏について振り返った。忘れたら国民の負けである。

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