東京五輪で日本の女子体操選手として初めて個人種目でメダルを獲得した村上茉愛さん(28)。現在は日本代表強化本部長として後進の育成に尽力している。指導者としての目標、女性アスリートとしての葛藤や、結婚に至るまでの道のりについて……。ジャーナリストの吉井妙子氏が話を聞いた。

村上茉愛さん。2021年の東京五輪では種目別ゆかで銅メダルを獲得し、同年10月に現役引退。母校日本体育大学のコーチを経て、2024年11月、日本体操協会の体操女子強化本部長に最年少で就任した ©松本輝一/文藝春秋

「女子団体でメダル獲得」を目標に掲げる村上さんは、女子体操界が抱える問題点について率直に語った。

 体操界では、思春期の体型変化や、露出の多い衣装への性的な視線など、女性アスリートならではの問題が山積している。村上さんは自身の経験を踏まえ、「10代の頃はホルモンバランスの関係で食べないのに太ったり、ウエイトトレーニングしても筋肉がつかなかったりと、自分で自分の体をコントロールするのがすごく難しい」と振り返る。

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 特に体重管理については「思春期の選手が無理なダイエットをしているのではないかと思うこともある」と語り、「食事制限をすると筋肉もつかなくなるので、当然ケガに繋がります。だから引退せざるを得なくなるというケースも。私はこの根本から見直さなければならないと思っています」と強い意志を示した。

 村上さんは、女性アスリートの生理の問題にも触れ、「大学生になってもまだ生理が来ないという選手はたくさんいましたね」と明かす。「極端な言い方をすると、生理がない方が楽なんですよ。気にすることがないから。それを当たり前に思っている選手もいる」「この考えは絶対よくない」と、その危険性を指摘。

 こうした問題に対し、村上さんは「ジュニアの選手から生理だったり、食事だったり、ヘルスケアの重要性を教えていきたい」と語る。「男性指導者だとなかなか触れづらいこと」として、女性指導者としての役割の重要性を語った。

2021年、パリ五輪での村上茉愛さん ©文藝春秋

私生活では2年前に結婚…「ようやくちゃんと恋愛が出来ている」

 私生活では、2023年に体操男子日本代表のトレーナーを務める森田敦士さんと結婚。大学の同期だった2人の出会いから結婚までの道のりを振り返り、「彼は真面目で口数も少ない方なんですが、私は思ったことはすぐに口にするし、行動もするタイプ。静と動でウマが合ったんですよ」と笑顔で語った。

 結婚後は、「どんどん好きになっています」「現役時代は競技が最優先だったので、今、ようやくちゃんと恋愛が出来ているなって思いますね」と幸せそうに語る村上さん。アスリート同士の結婚について、「お互いに分かり合っているからこそ、あまり干渉しないということですかね。でも、何かあった時に、同じ経験をしているので引き出したり引き出してもらったりすることが自然にできる」とその良さを語った。

 

 最後に、「私たち2人の共通の夢は、ナショナルチームを今以上に輝かせること」と、夫婦で日本体操界の発展に貢献する決意を示した。

撮影=松本輝一/文藝春秋

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 このインタビューの全文は、

#1「体操女子で57年ぶりの五輪メダル、子役として活動したことも…村上茉愛(28)が引退後に指導者になった“切実な理由”
#2「性的なコメントに『自分がすり減るような感覚が…』体操・村上茉愛(28)がアスリートへのハラスメント問題に思うこと
#3「私から結婚したいと言って、プロポーズは大晦日に…」体操メダリスト・村上茉愛(28)が初めて明かす、夫との“馴れ初め”と結婚生活

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