フジ・メディア・ホールディングス(FMH)が定時株主総会に諮る新取締役の選任案を巡り、株主の米投資会社ダルトン・インベストメンツが提案した取締役候補の一人、NEXYZ.Groupの近藤太香巳社長(57)が、「週刊文春」の取材に対し、ダルトン側の提案が全て拒否された背景などについて回答した。
FMHはファミマ元社長の澤田氏らを新取締役候補に
FMHは5月16日の決算説明会で、6月25日に開催予定の定時株主総会に諮る新取締役の選任案を発表した。ファミリーマート社長などを歴任した澤田貴司氏(現セルソース社長)らを候補とした一方、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長(74)ら、ダルトン側が提示した12名の取締役案については反対を表明した。
「北尾氏は4月17日に近藤氏とともに記者会見を開き、金融・IT・メディアの融合など独自の改革案と共に、『もし(FMH側が)敵対するなら、私は徹底的に勝負します』などと宣言していました。近藤氏も会見の場で、北尾氏について『総理大臣になってもらいたいぐらいの人』と、その手腕や人柄を絶賛していた。ところが、その北尾氏も近藤氏も、FMH側は受け入れなかった形です」(経済部記者)
「彼らは一貫して『検討中』と繰り返すばかり」
果たして、近藤氏は今回の取締役選任案をどのように受け止めているのか。取材を申し込んだところ、主に以下のように書面で回答した。
――自身や北尾氏が取締役選任案に含まれていなかったことについてどのように受け止めているか。また、フジ側と面談などをしたのか。
「私はさておき、北尾さんのお名前が役員に無かったことに驚いたのが率直な感想です。私にはFMHからの接触は一切ありませんでした。また、清水社長の会見に至るまでにダルトン社からFMH側に何度も『いつ協議が行われるのか』と確認を重ねたようですが、彼らは一貫して『検討中』と繰り返すばかりで、結局、一度も協議の場が持たれることはなくFMHから今回発表された内容についても事前の連絡はなかったとのことです。
私は今回、FMHが満場一致でダルトン側の候補者全員を拒否した背景には、以下のいずれかが要因していると考えておりました。
(1) 驚くほど強力な新たな役員案がある
(2) 既存の大株主の一部が FMH側についた
(3) 劇的なホワイトナイトが登場した
ただ、発表された(1)の役員案において、『秘策』と呼べるような驚きはなく、意図が読み取れない人選でした。(2)(3)も無いと思います」



