娘の清美さんに手伝わせ、由紀夫さんを浴室で解体
〈松永は、「バラバラにして捨てるしかないな」、「まず血抜きをしよう」などと提案し、その結果、由紀夫の死体は解体して処分することになった。(中略)緒方と甲女は由紀夫の死体解体作業を行った。松永は、直接解体作業には従事しなかったが、緒方と甲女に対して解体の方法、手順等につき細かく指示をした。(中略)死体の血抜き作業をする際、松永は、甲女に緒方と一緒に包丁を握らせて死体に切り込みを入れさせるなどした〉
由紀夫さんの解体は浴室で行われ、その後は松永が清美さんに対して、〈浴室をパイプユニッシュやトイレ掃除用洗剤で磨かせた〉などして、入念な清掃が行われた。
広田由紀夫さんの死後、次に30×号室で起きた殺人の被害者は、緒方の親族たちだった。福岡県久留米市に住んでいた緒方の妹・智恵子さん(仮名、死亡時33)夫婦と娘、息子の4人が熊本県玉名市を経由して、片野マンション30×号室で同居を始めたのは97年9月のこと。さらに同年12月には、緒方の父・孝さん(仮名、死亡時61)と母・和美さん(仮名、死亡時58)もそこに加わる。
緒方家の最初の被害者は父・孝さんだった。
和室で緒方の父・孝さんを殺害、家族に解体を手伝わせる
97年12月21日、場所は北側和室である。
〈松永は孝らを北側和室に集め、松永を囲むようにして正座させ、孝らに対し、説教を始めた。(中略)松永は、緒方に対し孝に通電するように指示し、緒方が松永の指示に従い、孝の身体に1回通電したところ、孝はその直後に正座したまま上半身を前屈させて倒れ、そのまま動かなくなり、そのころ死亡した〉
その後、南側和室に布団を敷いて孝さんの遺体を寝かすと、松永は緒方と母・和美さん、妹の智恵子さん、その夫の隆也さん(仮名、死亡時38)に向かって「どうするんだ?」と問い掛けている。
〈松永は緒方に、「お前は解体作業はしなくていい」と言い、死体の切断等の解体作業は殊更隆也と智恵子にさせた。緒方は、隆也や智恵子に死体解体の仕方を手ほどきしたが、緒方自身は和美と共に、(切断遺体の)煮込みなど、解体以外の作業をした。花奈(仮名、智恵子と隆也の長女、死亡時10)も松永の指示を受けてこれらの作業を手伝った。松永は役割分担を決めたり、作業の仕方を細かく指示したりしたが、作業自体は何もしなかった〉

