ザクロを口移し、縛られながらつま先を舐めるシーンも…
特に筒井真理子演じる、年上の投資家・長野真澄との関係は濃密で、ザクロを口移ししたり、ロープで縛られた真人が真澄のつま先を舐め回したりと、観ているこちらもドキドキさせられる。
ある日、澪と些細なことからすれ違ってしまった後に、真澄とベッドをともにした真人はどこかイライラしている様子で余裕がない。筒井があられもない声の合間に「今日なんかあったでしょ?」と問いかけるのだが、成宮がそれに、顔色ひとつ変えずに「ありましたよー、いろいろと」と敬語で返すのがまた官能的なのだ。
また、女の影が絶えない真人は、澪の同僚の小泉彩葉(田中美久)とも関係を持っており、こちらのベッドシーンでは、多面的な真人の人間性が浮かび上がってくる。
筒井演じる真澄には、飼い犬のように甘えて見せる言動が多いが、年下の彩葉が「もっと知りたい、あなたのこと」と誘ってみせると、そんな彩葉を軽く見下げながら「いいねえ、君は美しい」と妖艶に笑ってみせる。まさにその顔は、余裕のある男。最初は澪の幸せを壊そうと真人に近づいた彩葉だったが、すぐに彼の魅力に取り憑かれているように見えた。
しかし、そんな彩葉も殺人事件に巻き込まれてしまう。そう、澪と真人の関係を揺るがす2つの殺人事件の犯人は真人なのである。そして真人は、多額の保険金を手に入れるため、澪を殺すことも計画していた。だが、綿密な計画に反して真人は澪に特別な感情も抱いていた。
驚くべきは、人によってイメージが異なるような、とらえどころのない真人の姿を成宮が見事に表現していることだ。俳優活動に8年ものブランクがあったとは思えない。
また、過激な描写も多い本作だが、それぞれのシーンで成宮が雰囲気にのまれている様子はなく、まさに“作品の大黒柱”である主演として常に存在感を示しているのである。
本作で変わらぬ魅力と俳優としてのポテンシャルの高さを見せつけた成宮。現時点で次の作品のアナウンスはないが、今後の活躍にも期待が高まる。

