店舗を構えるタイプの女風は、その後10年以上も記録がない。だが2007年、福岡・中洲に女性向けソープランド『CC.Club』が誕生する。事情に詳しい中洲の風俗関係者に話を聞くことができた。

『CC.Club』は中央に待合室があるつくりで、その周囲に客室が10ほどあったという。待合室では、簡易的なホストクラブのようにアルコールが振る舞われ、出勤する男性セラピスト数人が顔見せの意味で輪番で接客し、女性は気に入った男性セラピストを選んで客室に移動して行為に及ぶ。

福岡県・中洲の風俗街。ここを女性客が歩くのは勇気がいるだろう

 経営者は中洲の風俗業者で、グループ店のひとつとして立ち上げられたという。場所は中洲の風俗街の一角、風俗店だらけのテナントビル最上階(6階)だった。

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『CC.Club』はこぞってマスコミに取り上げられるなど華々しくオープンしたが、営業期間は『クイーン』よりも短いわずか9カ月だ。女性客はもちろんのこと、男性セラピストも思うように集まらず、ずっと開店休業状態だったようだ。

 理由も吉原の『クィーン』と共通している。『CC.Club』が入ったビルのテナントは全て男性向け風俗店で、女性客にとっては入ることに勇気がいる。ホテルで待っていればいいデリヘルと違ってプライベートも確保されておらず「女性が遊びにくい状況にあったからでしょう」と中洲の風俗関係者は振り返る。

 ちなみに『CC.Club』があった場所は、現在は男性向けの人気風俗店が営業している。

「女性がこれほど風俗を求めていたとは、予想もしなかった」

 こうして平成初期から中期にかけて誕生した女風は、いずれも短命に終わった。店舗型の営業では女性客のハードルの高さが克服できず、新規開業者が現れないまま時が過ぎていった。

福岡・中洲の風俗街

 だが『CC.Club』誕生から10年が過ぎた2017年から、女風は突如として大量発生した。ジャンルとして完全に確立され、いまや業者の数は全国で300を超える。何が起きたのか。

 東京・大阪・名古屋・福岡・北九州と派遣型女風店を5つ経営する『SPA White』グループ代表のあす香さん(32歳)も「女性がこれほど風俗を求めていたとは、予想もしなかった」という。

 再興の先陣を切ったのは2017年11月、大阪に誕生した女性専用の店舗型マッサージサロン『ハミング』だ。あす香さんが女性向け風俗の可能性を感じたのも、この店がきっかけだった。

 育児に疲れている時期に知り合いから無料モニターに誘われ、初めて女風のサービスを味わったという。