酒井 多分、寂聴先生はみうらさんのことをずっと気にされてたんだと思います。仏教界のライバルって思われていたかもしれないですよね。
寂聴さんからいただいたお手紙
みうら 3月3日に京都の三十三間堂で、いとうせいこうさんと33年後の約束ということで会ったんですけど、その日たくさんの人が集まってくださったんです。三十三間堂の方が「こんなに人が来たのは寂聴さんの法話以来ですよ」っておっしゃっていたから、「僕らは寂聴さんの生まれ変わりなんだ」ってちょっと思いました。
酒井 そうかもしれないですね(笑)。私も寂聴先生からお手紙をいただいたことがあるんですよ。先生の文庫に解説を書いたら、お礼のお手紙を手書きでくださったんです。今どき文庫の解説のお礼にお手紙くださる方ってあまりいらっしゃらないですよね。
みうら 僕も酒井さんとの対談を文庫に収録させてもらったのに、手紙書いてない……すみませんでした!
酒井 それを言いたかったんじゃないです(笑)。でも、寂聴先生からいただいた封書のお手紙は、ちゃんと直筆で、本当に励ましてくださるありがたいことが書いてあって。自分も歳を取ったらこうなりたいと思いました。
みうら 僕も未だに手書きなんですよ。手書きのほうが、ありがたみがありますよね。
酒井 でも私、この前、若い編集者の方にお礼の手紙を封書で出したんです。そうしたらその方から「ポストに手書きの封書が入っていて怖かったです」ってメールが来て。若い人は手書きの手紙が届くと「怒られるのかな?」と思うって言われて、シューンってなっちゃったんですけど。
みうら 僕らの時代は、怒ったり相手を怖がらせたりするときは活字を切り貼りしたもんだけどね。フォントが違う活字を合わせるのが粋でしたけどね(笑)。
出家したら黒歴史がチャラになる!?
酒井 寂聴さんとは対談などをさせていただいたこともあって、寂庵にもお邪魔したんですけれども、可愛らしくも芯の通った素敵な方でした。


