そして藤田元治、小山正明両エースの先発で始まった天覧試合は、先制点を許した巨人が長嶋のホームランなどで逆転するも、阪神に再逆転を許すなど一進一退の攻防がつづく。7回にルーキーの王貞治の2ランで追いつき、4対4で九回裏を迎える。
マウンドには打倒巨人に燃える村山実。先頭打者として打席に立ったのが長嶋だ。
カウント2ボール2ストライクからの5球目。快音と同時に4万5千人と満員に膨れ上がったスタンドの歓声が、球場を包み込んだ。左翼ポール側へと伸びていった打球が、スタンド上段に吸い込まれるのを見届け、長嶋はゆっくりと一塁ベースに向かって走り出した。
貴賓室を見上げると…
「3塁を回ってホームに向かう時、貴賓室を見上げると陛下は拍手をしながら身を乗り出しておられた。皇后さまも半分立ち上がった姿が見えました。『野球をやっていてよかった』と、その瞬間に思ったことを覚えています」
「文藝春秋」2022年8月号では、長嶋氏の回想をもとにした記事を8ページにわたって掲載。ここで長嶋氏は、サヨナラホームランの感触や前夜のイメージトレーニング、ライバル村山実投手との友情などについて明かしている。
※本記事の全文(約6800字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(鷲田康「長嶋茂雄初告白『天覧試合』秘録」)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。
・「ショッキングな出来事」
・スランプの真最中だった
・「いわゆるインスピレーション」
・川上哲治と交わした会話
・「来た球を無心で打った」
・村山投手と大親友になった
〈「文藝春秋PLUS」では、下記の記事もお読みいただけます〉
長嶋茂雄「東京五輪のアスリートたちへ」 鷲田康
◆短期集中連載 長嶋茂雄と五輪の真実 鷲田康
第1回 長嶋茂雄「これが日の丸のプレッシャーか」
第2回 脳梗塞ーーミスターが託した日の丸
第3回 ミスターが感じた「銅メダルの重み」
