ヨットの上での暑さ対策、そして“海賊”対策は?「海賊が出るエリアがありますが…」
――ヨット生活ならではの困難や、不便に感じることはありますか?
ルイ うーん、ヨットの上が暑いことかな(笑)。特に晴れた日の昼間は、海からの照り返しが強くて、ヨットの中はかなり暑くなります。暑さ対策のために、エアコンを積んでいるヨットもありますが、僕はエアコンの風が苦手で、すぐに喉が痛くなっちゃうからつけられなくて……。
コル 暑いと言っても日本の夏のように耐えられない暑さではないですし、汗をかいたら海に飛び込んじゃえばいいから、意外となんとかなるんですよ。ルイなんか、このインタビューの直前にも暑いからって海に飛び込んでいましたよ(笑)。
――ほかに、航海中に「これは大変だ」と感じることは? 例えば、海外の海というと、“海賊”の心配があると思いますが。
ルイ よく聞かれますが、海賊が出没するエリアというのは、大体決まっているんですよ。彼らも商売ですから、ちゃんと“もうかるように”計画的にやっている。事前に危ないと言われているエリアを避ければ、遭遇することはまずないです。
フィリピンやインドネシアの周辺にも海賊が出るエリアがありますが、そこは避けて通ってきたので、危険な目には遭っていません。
「誰かの背中を少しでも押せたら」ふたりがYouTubeを始めたワケ
――YouTubeチャンネル「うみと船」では、ヨット生活の様子を発信されていますよね。そもそも、YouTubeを始めたきっかけは何だったのでしょうか。
コル 海外セーリングの情報を調べる時に、ブログやYouTubeにすごく助けられたんです。でも、そのほとんどが海外発のもの。自分たちが航行する予定の海域のセーリング情報を日本語で発信している人は、ほとんどいませんでした。
だったら、自分たちが経験したことや見たものを発信することで、これからチャレンジしたい人の役に立てるかもしれない。それなら、私たちがYouTubeをやる意味があるかもしれない、と思ったんです。
ルイ バンクーバーでヨットを始めた時に、現地の人たちにすごく助けてもらったんですよ。彼らが知識や経験を惜しみなく教えてくれたから、僕たちはヨット旅を始められました。その恩返しってわけじゃないですけど、僕たちも誰かの背中を押せる人でありたいな、と思っています。
――YouTubeでは、具体的にはどんなことを伝えたいと考えていますか?
コル 日本のヨット人口は、高齢化が進んでいて、若い人はなかなか参入しづらい状況があります。カナダで見たような、若い世代が気軽にヨットを楽しむコミュニティが日本にもできたら、という思いもあります。ただ、だからといって「みんなヨットに乗ろうよ!」と呼びかけたいわけではないんです。
どちらかというと、「世の中には、こんな生き方をしている人もいるんだな」と知ってもらえたら嬉しい。私たちが自由に旅ができているのは、経済的に恵まれているからではありません。自分たちの興味や好奇心に従って、あるものを活用しながら生活しています。そんな私たちの等身大の姿が、誰かの背中を少しでも押せたら、それ以上に嬉しいことはないですね。


