我慢できず駐車場で出産

 出産当日深夜、ただならぬ陣痛に見舞われた有希は、量販店にトートバッグを買いに行き、その道中で産気づいてガマンできなくなり、駐車場の車の陰に身を潜めて下着を下ろした。

 路上にしゃがんで力んでいるうちに、赤ん坊を出産した。路上で出産したのは初めてのことだったので動揺し、赤ん坊を見ることもなく、バッグに詰め込み、ホテルに戻った。

 しばらく休憩した後、中身が見えないようにタオルで隠して、チャックを閉めた。そのまま最寄り駅のコインロッカーに向かい、バッグを収納した。そのときに中身が動いている気配はなかった。

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 有希は1日でも長くバレないように追加料金を毎日入れに行った。風俗店勤務とホスト通いはそれでもやめなかった。

 出産の現場となった駐車場の管理人からは、「路上に血だまりがある」と通報があったが、事件との関連性は不明で、すぐには気付かれなかった。

 だが、いつまでも隠しきれる方法でないのは明らかで、遺体が見つかると、ただちに駅の防犯カメラで確認され、有希がコインロッカーにバッグを入れている様子や、その直前に量販店で同型のバッグを購入していることなどが特定され、警察が事情聴取にやって来た。有希は観念して容疑を認め、死体遺棄容疑で逮捕された。

 有希は公判の主尋問で次のように述べた。

弁護人:一番の原因は救急車を呼ばなかったことと避妊しなかったことだと思うんだけど……。

有希:はい、風俗勤務はやめなければならないと思います。

弁護人:どれぐらい収入はあった?