――ご家族の体型はどうだったんですか。
吉野 姉は小さい頃にぽっちゃりしていた時期があるらしく、中学生ぐらいになってから痩せたタイプでした。今振り返ると、彼女たちも体型や容姿にコンプレックスがあったから私に対してきつい言葉をぶつけていたのかなと思うのですが、当時はそんなことはわからないのでただ辛かったです。
――なかなか友達にも相談しづらいですよね。
吉野 学校の友だちに「私、ダイエットしたほうがいいのかな」と話すことはありました。「なおはなおのままで大丈夫だよ」と言ってくれる優しい子たちが多かったんですけど、私は自信を失っていたので「普通体型の子に私の気持ちなんてわかんないよね」と卑屈になってました。なので当時は学校そのものがあまり好きではなかったですね。特に、体育の時間が憂鬱でした。
――体育の時間の、どんなところが嫌だったのでしょうか?
吉野 太っている自分がいると、チームの邪魔になっちゃうんじゃないか気になって、仮病で休んだことも何度かありました。あと私の小学校は体育の服装がまだ「ブルマ」で、足の露出が多いからどうしても周りの友達と比べてしまって、そのたびに落ち込んでいました。
――ブルマ以外にも、服装で悩むことはありましたか?
吉野 とにかく私に合ったサイズがないのが悩みでした。子ども服の一番大きいサイズはだいたい160cmなのですが、小学生で体重が60kgあった私にはそれでもパツパツ。かといって大人用の服を買おうにも今のように手頃な値段で買えるものは多くなかったですし、デザインも限られていて。自分にあったサイズや予算で買えるものは、“かわいくないもの”がほとんどでした。
友達はおしゃれなかわいい服を着てるのに、太っている私にはそれができない。私はみんなと違うんだと、いつも居心地の悪さを感じていました。
「『太っている私はダメなんだ』って劣等感がどんどん強くなっていきました」
――小学校にも身長や体重などいろんな体型の子がいたのでは、とも思うのですが。
吉野 たしかに私と同じくらいの体型の子もいました。でも何か1つ「その子だけの特技」があるように見えたんですよね。成績が良いとか、運動ができるとか。
それなのに私は太ってるし、自慢できるような特技もなくて、「何もない」と思っていました。体型以前に、とにかく自信がなかったんです。
――年齢が上がっていく中で、自分自身や周りに変化はありましたか?
吉野 私が中学生になった頃は『Popteen』みたいなギャル系雑誌が人気で、私も華奢でかわいいギャルモデルの体型に憧れる子の1人でした。
「痩せている=かわいい」というメッセージが雑誌やテレビで常に発信されていて、中高生が読む雑誌も毎月のようにダイエット特集が載っている。それを見るたびに「太っている私はダメなんだ」って劣等感がどんどん強くなっていきました。周りの友達ともどうしても比べてしまって、一緒に遊びに行くのもちょっとイヤになっていました。

