――どんなことがあったのでしょう。
吉野 たとえば学校帰りに友達と街で遊んでいたら、友達だけがナンパされるんです。私は無視されて、まるで私のことなんて見えないみたいに目も合わせてくれないこともありましたね。
他にも、好きなアーティストのファンサイトで仲良くなった人に告白されて舞い上がっていたら、私の写真を送った瞬間に向こうがそっけなくなったり。
今だったら「そんな男はロクな奴じゃない!」と思えるのですが、当時は「太っている私は、誰からも選ばれないんだ」と卑屈になっていました。
――そして高校生の時に、大きな出会いがあったそうですね。
吉野 はい。ネットで知り合った16歳年上の男性を好きになったんです。勇気を出して告白したら、「痩せたら付き合う」と言われて。
――その言葉を聞いて、どう思われましたか?
吉野 ショックでしたけど「これをきっかけに変われるかもしれない」とも思いました。それで生まれて初めて本格的なダイエットを始めたんです。
少しでも体重が増えると「食べてるから太るんだよ!」と怒られ…
――どんなダイエットをされたのでしょうか。
吉野 食事制限と運動を徹底的にやっていましたね。高校のお昼はお弁当だったので、カロリーの低い「流水麺」を持っていって水とそれだけで凌いでいました。夕飯も、サラダや豆腐など低カロリーなものがメイン。
友だちからは「大丈夫?」と心配されましたが、その言葉が当時の私には“誘惑”に見えて、「この誘惑に負けてはいけない」と頑なになっていました。そんな生活を1年以上続けていたら、160cmで80kg弱あったのが高校を卒業する頃には10kg減りました。卒業後は毎朝1万歩くらいウォーキングして、さらにジョギング、スイミング、という生活でさらに20kg減って47kgになりました。
――合計30kg減はすごいです!
吉野 その結果、「痩せたら付き合う」と言っていた男性ともお付き合いできたんですよ。
――念願叶って、付き合うことができたのですね。
吉野 ただ彼はとても体型に厳しくて、付き合い始めると徐々に束縛がキツくなっていきました。当時は毎日彼に食べたものと体重をメールで報告するのが日課で、少しでも体重が増えると「食べてるから太るんだよ!」と怒られるようになりました。
今考えれば、30歳をすぎたいい大人が18歳の女子にそれを言っているのはおかしい、異常な関係だったのはわかります。けど、彼は「痩せている子が好きなんじゃなくて、お前のことが好きだからもっとかわいくなってほしいんだ」「愛しているから厳しくするんだ」と言うんです。
高校を卒業したばかりの私には、社会人で大きな会社に勤めている彼はすごく大人に見えました。「そんな彼が言うんだから間違いないんだ」と思って、私もハードなダイエットを続けてしまったんです。

