――日本の大学では何を学んでいたんですか。

ネトーチカ 地震後の都市復興について勉強しました。同級生もウ クライナの時と変わらず、ほぼ同じようなオタクでした(笑)。みんな良い人で頭も良かったです。クラスメートの一人は本当に天才だったんですが、普段あまりに勉強に集中していてニュースを見ていなくて、ウクライナで戦争が起きていること自体を知らなかったくらいです。

©細田忠/文藝春秋

日本で困ったことは「セクシーに見えちゃう」

――日本とウクライナでは違うことも多いと思いますが、驚いたことはありましたか。

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ネトーチカ 一番驚いたのは、日本人は本当にルールを守ることでした。電車に乗る前には列に並びますし、電車内ではしゃべらず静かです。ウクライナでは考えられないことです。

 池袋駅の地下にたくさんのスイーツショップを見た時は本当に驚きました。ウクライナのキーウの駅の地下道はとても暗くて、店もお土産屋さんくらいしかないので、あまり面白くないんです。だから駅がこんなに美味しくて美しい場所になるなんて想像もできませんでした。ディズニーランドみたいです。

 ちょっとびっくりしたのは、渋谷や新宿で道端に寝ている人や、ごはんを地面で食べている人、カラスをたくさん見かけたことです。初めて見た光景で、すごく印象的でした。

――日本で困ったことは?

ネトーチカ ファッションですね。そもそもヨーロッパは日本ほどファッションに気を使わないんです。なので私のファッションが日本のものとあまりにも違いすぎていたんです。それに私は背が高いので、ミニスカートをはくと、とてもセクシーに見えちゃうんです。それが日本では大丈夫かなと心配でした。

ミニスカートのネトーチカさん 本人Xより

――大学にはどのくらいいたんですか。

ネトーチカ 実は予定より早く大学を辞めることになったのですが、日本にいながらウクライナのために何かできないかとずっと考えていました。ちょうどその頃、ウクライナの水の浄化設備を支援している企業に出会い、「これは自分が力になれるチャンスだ」と感じて就職を決めました。その会社では、日本とウクライナの橋渡しとなるようなお仕事も多く、日本に興味を持つ企業も多かったので、私の立場だからこそできる貢献があると実感しました。今年の4月まではその会社で働いていました。

東京ゲームショウで初めてのコスプレ

――コスプレを始めたのはいつ頃だったんですか。

ネトーチカ 2023年9月の東京ゲームショウで初めてコスプレをしました。実は高校時代から、コスプレをしたかったのですが、ウクライナにはコスプレをする人があまりいませんでしたし、ネットで簡単にコスチュームを注文できるサービスもありませんでした。

 日本での生活も落ち着いてきて、改めて子供の頃の夢をかなえようと、ゲームショウでコスプレをすることにしたんです。