J・K・ローリングのトランス嫌悪とその影響
原作者のJ・K・ローリングは、ドラマ版でも製作総指揮を務めている。しかし彼女は、2018年ごろからトランスジェンダーに対する否定的な発言をくり返しており、たびたび批判の的になってきた。これらの発言には、『ハリー・ポッター』および『ファンタスティック・ビースト』シリーズの出演俳優たちが抗議の意を表明するなど、彼らとの関係は悪化してしまっている。
2025年4月、イギリス最高裁は同国の平等法における「女性」について、生物学的性別に基づくと定義する司法判決を下した。ローリングはこの裁判を起こした反トランス活動家団体「キャンペイナーズ・フォー・ウィメン・スコットランド」に資金援助をしていたことで、判決後にロンドンで行われたデモで槍玉に挙げられた。
またこの判決を受けて、多くの有名俳優がこれに反対する公開書簡を発表。そのなかには、ドラマ版『ハリー・ポッター』のキャストであるリスゴー、マクティア、フロスト、そしてエッシードゥの名前もあった。
もともとキャスティングに批判があったことに加え、政治的に相容れない意見を表明したエッシードゥをローリングが解雇するのではとの見方もあったが、彼女はこれを否定。自身のXで「私にはドラマから俳優を解雇する権限はありませんし、たとえ持っていたとしても行使するつもりはありません。私とは異なる、法的に保護された信念を持つという理由で、人々の仕事や生活を奪うべきではないと考えています」と表明した。
ローリングはあくまでも、政治的な思想とクリエイティブな仕事は別物と考えているようだ。しかし彼女が発信するトランス嫌悪が、「魔法ワールド」の物語を楽しむうえでノイズになってしまっているのは間違いないだろう。
