事務のパートをしながら3人の子供を育てる専業主婦のミナミは、毎日節約のために苦手な料理を頑張っていた。そんなある日、夫から「飯がマズすぎて、離婚を考えることがある」と言われてしまい……。
『妻の飯がマズくて離婚したい』(ママスタセレクト企画・原案、渡辺多絵・もち著、KADOKAWA)は、「食」に対する価値観の違いと正面から立ち向かう夫婦の体験を描いたコミック作品だ。
WEBメディア「ママスタセレクト」での連載時から強い共感を集め、X(旧Twitter)ではトレンド1位を獲得。そんな話題作のヒットの理由に迫る――。
「どうせお腹のなかに入っちゃえば同じ」に大きな反響が
『妻の飯がマズくて離婚したい』は全30話。イラストを手掛けた神谷もちさんと、シナリオを担当した渡辺多絵さんは、それまでも「ママスタセレクト」で人気作品を生み出してきた2人だ。毎日更新の連載を担当していた編集者は以下のように語る。
「これまでにない大きな反響がありました。『食事』というすべての人に関わるテーマだったからこそ、多くの人に届いたのかもしれません」
実際に読者の反響が特に大きかったのは、作中で主人公ミナミが何度も口にする「どうせお腹のなかに入っちゃえば同じよ~」というセリフに対してだったという。
「食事を家族に提供している人たちであれば、一度は口にしたことがあるセリフだからかもしれませんね。シナリオ担当の渡辺さんは当時、『このセリフ、実は“作った側”が言うセリフではなく、“作ってもらった側”が励ましとして使うセリフなのかもしれないな……』と思いながら執筆していたそうです。ミナミ自身も苦手な料理を作りながら、自分で自分を励ましていたのかもしれません」(同前)
しかし、そんなミナミの口癖に対して夫のアツシは「もっと食事を楽しみたい」と反論する。毎日の生活に欠かせない「食」の価値観が夫婦で対立してしまう緊張のシーンだ。ここでどちらかが自分の考えを一方的に押し付ければ、相手はその後ずっと我慢を強いられることになってしまう。限界を迎えた先にあるのは「離婚」だ――。

