二階俊博 自民党・幹事長
「『今晩、飯を炊くのにお米が用意できない』という家は日本中にはないんですよ。だから、こんな素晴らしいというか、幸せな国はないんだから」
TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」6月26日
これも二階氏が26日の講演で行った発言。話の流れとしては、豊かで素晴らしい国なのだから、みなさん子どもをもっと産みなさい、となる。貧しかった戦前、戦中、戦後の時代でも子どもがたくさん生まれたのだから、今の時代に子どもがたくさん生まれないのはおかしい(産まないほうが幸せだと勝手なことを考える人がいる)、とも読める。
まず、「『今晩、飯を炊くのにお米が用意できない』という家は日本中にはない」という二階氏の認識は正しいのだろうか?
元大蔵官僚で衆院議員の大串博志氏は自らのブログで「世の中を全く見ていない発言だとしか言えません」「自民党にはそういう恵まれた人たちに囲まれた議員さんが多いのかもしれません。しかし現実は、例えば子どもの貧困ひとつとっても、日本は大変な状況になっています」と二階氏の発言を批判した(6月26日)。
教育社会学者の舞田俊彦氏は『世界価値観調査』(2010~14年)の「この1年間、十分な食料がない状態で過ごしたことがある」という質問項目を取り上げている(ニューズウィーク日本版 2月22日)。日本の回答者2443人(16歳以上)のうち、「しばしばある」ないしは「時々ある」と答えた人は121人に上る。飢餓経験率は5.0%、国民の20人に1人にあたる。また、舞田氏は「飢餓経験率をみると、若年層・低学歴層ほど高くなっている。30歳未満の義務教育卒(中卒)の群では17.9%、6人に1人が飢えを経験している」とも指摘している。
また、国立社会保障・人口問題研究所が2012年に行った「生活と支え合いに関する調査」で「食料の困窮経験」を尋ねているが、それによると過去1年間に経済的な理由で家族が必要とする食料が買えなかったという経験を持つ世帯は、14.8%に上るという。6世帯中1世帯が食料の困窮を経験していることになる(日経ビジネスオンライン 2014年7月29日)。
まずは二階氏の日本という国に対する認識から改めてもらわなければいけないのかもしれない。