「みんな可愛いので…」プロ野球選手との“出会い事情”
――あと、売り子さんでいうと、容姿端麗な人が多いというのがあります。ぽぽちゃんもそうですけど、ビール売り子から芸能人に転身する方って本当に多いですよね。
ぽぽちゃん 結構いますね。私が高校生で入った頃からずっと仲良くしてくれた先輩がいたんですが、その先輩がずっと売り上げNo.1だったんです。
青野夏希さんといって、1シーズンが終わった時に年間表彰もされていました。売り子の時は普通の大学生だったんですが、今はタレントをされています。
あと、元テレビ東京のアナウンサーの池谷実悠ちゃんもビール売り子をしていて、同じ2階席の3塁側で売ってました。
私は格闘技「RISE」のラウンドガールを昨期までやっていたんですが、ゲスト解説されているタレントの志田音々さんも東京ドームでアサヒビールの売り子をしていたって聞きました。あと前田星奈さんはレースクイーンをやりながら、今もビール売り子をしています。
――すごいですね。野球選手との出会いとかはあるんですか?
ぽぽちゃん 東京ドームは全くないです。私たち売り子は事務所と売り場の行き来なので。ただ、みんな可愛いので、球場以外で出会ってるんじゃないですかね。
「売り子同士で結構バチバチします」売り上げ次第の下剋上の世界
――それだけタレントになるような人がひしめいていると、競争が厳しそうですね。
ぽぽちゃん ビジュアルが良くない子が消えていくというよりも、か弱い子が消えていっちゃうイメージです。まず体力勝負なんですよ。終わったときに疲れて真っ白になっている子とかいて「大丈夫かな?」と思っていたら、次の日からいなくなっていたり。
逆に売り子として残っている子たちは気持ちが強いです。待機補助だったり、売れないポールスターになっても、我慢する。他の売り子との競争に晒され続けて、それでも辞めない子たちなので。ロッカーでも、みんな素っ裸で着替えてましたし、先輩、後輩の上下関係もしっかりしてます。
――年齢が上の人が偉いのか、売り上げトップが偉いのかでいえばどっちですか。
ぽぽちゃん 売り上げですね。だから下剋上もあります(笑)。
――じゃあ下から抜かされたりすると、機嫌が悪かったりする?
ぽぽちゃん 結構すごいです。売り場が近かったりすると、結構バチバチしますね。
チェッカーという、売り子の管理をしてくれる人が、球場でバインダーにひとりひとりの売り上げを書き込んでいるんですよ。そのチェッカーに「え、あの子何杯、今売っているの?」って聞いたり。派閥とかもありましたね。バイトなんで表面上は仲良くしていましたけど、バチバチはしてましたね。良く言えば切磋琢磨ですけど……。まあ、女の子なんで(笑)。
撮影=細田忠/文藝春秋

