予想外の問題も…“4つのリスク”とは?
タワマンはみんなの憧れ。資産価値も高いとされるので、重たいローンを背負っても大丈夫。自分たちの年収も年齢が嵩むにつれて上がっていくはずだから、負担感も徐々に軽減される。いざというときには売却すれば問題はない。タワマンに限った話ではないが、都心マンションを購入するパワーカップルの頭の中はだいたいこんな感じだ。
ただペアローンを組むにあたっては気を付けなければいけない点がいくつかある。
(1)金利の変動
固定金利で調達した場合は別だが、現在住宅ローンを組む人の約8割が変動金利型ローンを組んでいる。このローンは日銀の政策金利に連動する。つまり日銀の金融政策が変わると大きな影響を受ける。したがってローン期間中に政策金利が上昇していく可能性が高い場合、将来の返済額が跳ね上がるリスクを内包しているのが変動金利型住宅ローンだ。ちなみに先述した年収1500万円のパワーカップルが限度額いっぱいの9400万円を35年元利均等返済で借りていた場合、金利が1%上がる効果は月額で5万円、年額で60万円もの負担増となる。昨年来日銀は政策金利を計0.5%引き上げている。今後も年度内にあと2回程度引き上げるとの観測もある。
金利上昇は夫婦ペアローンに限った話ではないが、夫婦共働きだから大丈夫と思って目いっぱいローンを組んでいると金利の上昇はローン金額が膨らんでいるがゆえにかなりの負担増となることを知っておいたほうがよい。
仕事上のリスクも影響するペアローン
(2)リストラ
どんな大企業であっても未来永劫続いていくものではない。かつては誰しもがうらやむ企業であっても、産業構造の変化、社会の変化などで会社自体の存続が危うくなるところもある。業績不振が続くと人員のリストラが始まる。具体的には待遇を下げる、早期退職者を募集するなどだ。
借りた時には夫婦とも勤務する会社は万全の経営状況であっても、その後の会社経営リスクに晒された場合、どちらかの年収が激減してしまうことになる。夫婦どちらかだけが借りていれば、片方のリスクを他方が補うことができるが夫婦ともに思い切り背伸びをしているとリスクを回避することが難しくなる。
ましてや50歳を過ぎるとリストラの対象にいつなんどきなってしまうかもわからない。ペアローンのリスクはこんなところにもあるのだ。
(3)健康
会社の健康のみならず、夫婦どちらかの健康が害された場合、長期の療養を余儀なくされる、長期離職によって所得が下がる、役職が変わるなどのリスクが露わになる。とりわけ中高年夫婦にとっては身近なリスクといえる。
よく保険に入っているので大丈夫と言われるが、疾病にもいろいろ。単なる体調不良程度であっても継続的な勤務が叶わないケースもある。ましてや死亡すれば保険が、といっても亡くなるまでにそれ相応の時間が経過するし、その期間中の収入減には注意する必要がある。
