新築マンションの高騰が止まらない。東京カンテイの調査によれば、東京都で供給される新築マンション(70㎡)の価格は1億526万円。東京都に住む人の平均年収592万円の17.78倍に及んでいるという。同様に神奈川県は13.06倍、埼玉県10.99倍、千葉県9.61倍だ。
いくら住宅ローンの金利が安い、ローン金利について一定割合が所得控除される、といっても限界をはるかに超える水準だ。家を手に入れることをあきらめる人たちの嘆き節が聞こえてきそうな今日この頃である。
だが世の中に一方的な右肩上がりの世界はない。冷静になって周囲を見渡してみると、実は変化の兆しを感じ取ることができる。
首都圏でこれから大量に発生することが予想される相続だ。首都圏でどのくらいの相続が発生しているのかを知るのは簡単だ。相続税を払う、払わないとは関係なく、相続件数は死亡者数と一緒だからだ。
首都圏の高齢者数は20年間で1.89倍に
さて2020年における首都圏の相続発生件数は年間で39万2000件である。20年前の2000年では21万2000件だったから、その数は20年で1.85倍になったことになる。戦後の日本は地方から大量の若者が首都圏や関西圏、中京圏に職を求めて流入し、そのまま家を手に入れて住みついている。
今年は戦後80年になるが、大量に流入してきた当時の若者も80歳代から90歳代になっている。お迎えが来るのがこれからだ。ちなみに首都圏の高齢者数をみると2000年では482万人だったのが2020年では911万人と1.89倍になっている。
相続の発生、つまり亡くなる方の多くが高齢者とするならば、2020年に高齢者になっている911万人の方々の多くが、これからの2020年以降2040年頃までに亡くなることが想定される。