高齢単独世帯数の激増
いささか不謹慎な表現となるが、多くの高齢者が亡くなるということは彼らが今住んでいる家が住宅マーケットに大量に出現することが期待できるということになる。ただ、高齢者夫婦のうち片方が亡くなっても(これを一次相続という)、まだもう片方が存命であれば、家を売ったり、貸したりすることは少ない。だが高齢単身者が亡くなる(二次相続)と、相続人である子供や孫がこの家を引き継いで居住しない限り、家は空き家となるか、売る、貸すという行動にでることになる。では首都圏では高齢単独世帯数はどのくらい存在するのだろうか。
2020年における首都圏の高齢単独世帯数は190万3984世帯。この数は2000年と比べてなんと2.54倍もの高い伸びを示している。さらに75歳以上である後期高齢単独世帯数は107万4561世帯と20年前の3.27倍という激増ぶりだ。
ということは、彼らが住んでいる家が大量に相続対象になることが容易に想像できるのである。少子化のすすむ現代社会では、相続人の数も少ない。親が80歳代から90歳代であれば、相続人である子は50歳代から60歳代だ。すでにマンションや戸建て住宅を手に入れている人も多く、今さら親の家に住もうと考える人は少ない。
解体更地化して売却される可能性も
空き家として放置する可能性もある。だが、地方と異なり、首都圏の家ともなると固定資産税や都市計画税の負担は馬鹿にならない。多くの相続人が処置に困って、相続した親の家を売ったり、貸したりし始めるはずだ。
ただ親の家は戸建て住宅であれば築年が古くなっていて商品性に欠ける場合が多いだろう。空き家にして放置するには税金も高く、また放置空き家に対する規制も強化される中で、その多くが解体更地化して売却することになる。戸建て用地は今後首都圏で大量に供給されることになるだろう。また築古マンションもよい立地のものであれば十分流通するだろうし、マンションこそは放置していても毎月管理費、修繕積立金の負担がのしかかってくることから、相続人は積極的にマーケットに拠出していくことだろう。