首都圏のマンション価格の高騰が止まらない。不動産経済研究所の発表によれば、2023年、首都圏(1都3県)で供給された新築マンションの戸当たり平均価格は8101万円、前年比28.8%の値上がりである。東京都区内に限れば、平均価格は1億1483万円、前年比39.4%もの値上がりを記録。この春闘において一部のサラリーマンの給与は5%程度の上昇を示したが、マンションを購入したい人たちにとってはほとんど焼石に水。夫婦ペアローンを組んで1億円近くの借金を背負い、この先20年、30年にわたって返済していく覚悟が必要な買い物となってしまっているのが現状だ。
中古マンションも値上がり
新築が「高すぎる」となれば、どうしても住居を買いたい人たちは中古マンションを選ぶことになるが、こちらも高騰が目立つ。東日本不動産流通機構の調べによれば、2023年度の中古マンションマーケットでは、平均成約価格は4700万円、前年比で8.2%の値上がり。コロナ前である2019年度比では35.1%も急騰している。
マンション販売現場では値上がりを続けるマーケットで、早くマンションを手に入れないとこの先もどんどん値上がりしていってしまう、数年前に購入した友人たちは買ったマンションが値上がりして資産価値が膨らんでにんまりしている姿などをみるとさらに焦燥感が募っている顧客の姿がある。
でも少し冷静に考えてみよう。果たしてこの値上がりはこれから先も続くのだろうか。またそれはどのような要因で支えられていて、どのような理由によって変化していくものなのだろうか。実はマンションを買おうとしている人も専門家と自称している人もあまりよく理解していないようにみえる。
投資用にマンションを買い求める国内富裕層
まず、現在のマンションマーケットを支えている要因は、実需だけではないことがある。特に都心部のタワマンなどの購入には相当量の投資マネーが流入している。メディアでは、中国人投資家がマンションを買い漁っているなどと煽り立てる報道が目につくが、それだけではない。全国で148万世帯以上にまで膨れ上がった国内富裕層が資産ポートフォリオの一環として投資用に買い求めている。
また中堅以下の不動産業者が土地から仕入れてマンションを建設するには都心部の土地が少なく、建設費コストも急騰していることから、大手デベロッパーが建設分譲するマンションをまとめ買いしているのである。これは業界では「専有床買い」などと言われるが、販売側からみても、まとめて買ってくれるのであれば彼らはありがたい客だ。専有床買いした業者はそれらの床を新古マンションなどとして個人客に転売して利益を得るのである。マンションが値上がりしている限りにおいてはこの手法が成立する。