確実に到来するリスクとは
だがこれからの日本ではもっと深刻で、そして確実に到来するリスクがある。大量相続問題だ。
2022年1月現在で首都圏には約914万4000人もの高齢者がいることをご存じだろうか。このうち75歳以上の後期高齢者が478万4000人と半数以上を占めている。今後この人たちの間で大量の相続が発生する。平均余命を考えればおそらく2030年までの間にかなり多くの人に相続が発生することは容易に推測される。この時点における後期高齢者にはまだ1947年から49年生まれの団塊世代(首都圏で約155万3000人)は加わっていないが、25年にはすべての団塊世代が後期高齢者に加わることになる。
相続人が「売る」か「貸す」時代へ
しかも高齢者世帯の多くが単身高齢者世帯になっている現実に照らし合わせれば、今後大量に発生する相続によってこの世代が保有する多くの住宅の行方が焦点となる。相続人の多くは50歳代から60歳代であることを考えれば、すでに自宅は構えていて親の残した戸建て住宅やマンションを引き継いで住む人は稀だろう。であれば相続人たちがとる行動は「売る」か「貸す」かとなる。
こうした流れが本格化するのがこれから2030年にかけての時期になる。世田谷区内で驚くほど安い中古住宅やマンションが出現しても驚きはないだろう。同様に大田区、練馬区、杉並区などでも同様の動きが顕著になるだろう。こうした個々の住宅に対して投資マネーは興味を示さない。頼るのは実需のみだ。その実需となる30代、40代の人口は減り続けていることは企業の人材争奪戦が始まった昨今の流れをみれば明確だろう。
実はどうしても住宅が欲しい人たちにとって、もう少しの辛抱で手軽に家が買える時代がすぐそこまで来ているのである。焦ることはない。