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東京でも大阪でもない…千葉県“子育ての街”で地価上昇の深いワケ

2024/04/17
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 国土交通省から令和6年地価公示の発表が行われた。全国平均でいえば住宅地は対前年比で2.0%、商業地で同3.1%と地価は3年連続で上昇となった。

東京、大阪では順調な地価上昇

 地価の上昇は大都市圏でみるとさらに鮮明となる。東京都区部は住宅地で5.4%、商業地で7.0%といずれも前年における増加率3.4%と3.6%を上回った。特に大阪は商業地の伸びが著しく9.4%の上昇。住宅地も3.7%の伸びとなった。何かとお騒がせな大阪・関西万国博覧会ではあるが、25年の開催に向けてホテル建設や市街地中心部におけるタワマン建設が進み、地価は明確な上昇を見せている。

 ちなみに最近の地価上昇を称して「不動産バブルの再来」などと呼ぶむきもあるが、いささか大げさであろう。平成バブルと言われた昭和62年および63年のデータをみると、62年は住宅地で21.5%、商業地で48.2%。これが翌63年になると住宅地68.6%、商業地61.1%というまさに狂乱といえる上昇率だったのだ。日経平均株価をみれば、第二次安倍政権が発足した2012年12月、大納会の終値が1万406円。現在が4万円前後なので株価は11年強で約4倍になっているのに対して同時期の地価は上昇基調になったとはいえ、三大都市において毎年わずか1~5%程度の伸びに過ぎない。むしろ順調な成長と呼んでよいのかもしれない。

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東京圏における公示地価推移(出典:国土交通省)

札幌、仙台、広島、福岡でも高い上昇率

 地価が上がっているのは三大都市ばかりではない。地方四市と呼ばれる札幌、仙台、広島、福岡でも地価の上昇は顕著だ。地方四市の平均では住宅地で7.0%、商業地で9.2%といずれも高い上昇率を示している。

 これは地方におけるコンパクト化現象と呼ばれるものである。地方四市はいずれも北海道、東北、中国、九州の中の最大の都市であるが、各地方の人々が自分たちの地方の中心都市に集結する傾向が近年とみに増していることが背景にある。