今年も箱根にあじさいの季節がやってきた。そのスタートを告げるイベントが箱根登山電車の「あじさい電車」だ。

 株式会社小田急箱根は6月13日、報道関係者を招いて「あじさいライトアップ」の点灯式を開催。6月14日からは指定席列車「夜のあじさい号」も始まった。4月25日に公式サイトで告知し、5月14日に指定席券(大人500円、小児250円)を販売開始。第1便は前日までにほぼ満席の予約があったといい、この時期をずっと待っていたファンがいるのだ。

夜のあじさい号は6月14日から6月30日まで運行する(報道向け撮影会で筆者撮影)

 点灯式を開催した6月13日時点で、あじさいは咲き始めだった。箱根湯本駅のほか、大平台駅、強羅駅周辺でも咲いている。花の数がそろわないところは、あじさいを植えたプランターをたくさん並べていた。鉄道部社員のこんな心づかいで、鉄道沿線は、ひとあし早くあじさいの花盛りを迎えている。

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ロマンスカーの車窓に満開のあじさいが現れた。箱根登山電車は小田原~強羅間15.0キロ。このうち小田原~箱根湯本間は小田急電鉄の車両で運行し、ロマンスカーも箱根湯本駅まで乗り入れる

沿線のあじさいは「7000株」にも及ぶ

 小田急グループの箱根登山鉄道は2024年のグループ再編で小田急箱根の鉄道部になった。しかし路線の愛称は箱根登山電車のままだ。そして、箱根登山電車の名物となった「あじさい」の歴史はとても古い。

 報道資料によると「1973年頃に鉄道職員が自発的にあじさいの植栽を開始」「1976年に鉄道職員のボランティア組織として『沿線美化委員会』が発足」「1985年頃に『あじさい電車』という呼称が定着」「1994年にあじさいライトアップと『夜のあじさい号』運転開始」とある。こうした活動が実って「2010年に神奈川県より『第1回かながわ観光大賞』受賞」となった。現在、沿線のあじさいは約7000株とのこと。