80年代に一大ムーブメントを巻き起こしたおニャン子クラブ。期待のホープとしてデビューし瞬く間に人気メンバーにのぼりつめた渡辺満里奈。結婚、出産を経て50代になった現在、家族の話、体調の話、生き方の話などアラウンド更年期の自身を等身大に綴ったエッセイ『不機嫌ばかりな私たち』(講談社)が話題になっている。更年期のリアル、そして家族関係の「更新」について聞いた。(全3回の1回目/続きを読む)

渡辺満里奈さん ©佐藤亘/文藝春秋

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「更年期って『なんだか怖いもの』と思っていましたが…」

――『不機嫌ばかりな私たち』拝読しました。最近、同世代の友人と会うと、更年期の話ばかりになります。ライフサイクルが異なる友人ともまた「更年期」でつながっていくんだなと実感しています。

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渡辺満里奈さん(以下、渡辺) じゃあ、今日はお友達と話しているような感じで聞いていただければうれしいです(笑)。私は野宮真貴さんと松本孝美さんと3人で『大人の女史会』というプロジェクトをやっていて、50代からの人生を健康に明るく過ごしたいという情報発信をしています。「更年期について触れたエッセイを書く」というのは、そんな中でいただいたお話でした。

©佐藤亘/文藝春秋

 自分自身の更年期ってどんなものだろうと最初は思っていました。ネガティブに「なんだか怖いもの」と考えていたのですが……。野宮さんと松本さんという人生の先輩方が「こんなこともあったのよ」とケラケラ笑いながら話してくれることに、すごく勇気をもらいました。更年期って、こんなふうに話してもいいものなんだ、と。

――タイトル『不機嫌ばかりな私たち』の「不機嫌」にもとても共感します。

渡辺 担当編集さんがつけてくれたタイトルなんですけど、いいですよね。「ご機嫌でいなくちゃいけないよね」「自分の機嫌は自分で取ろうね」という風潮に、ちょっと圧を感じてしまったこともあって。

『不機嫌ばかりな私たち』(渡辺満里奈 著/講談社 刊)

 よく「母親が笑顔だったら家庭が明るくなる」と言われますけど、でも「母親だけにそれを担わせないでよ」という気持ちもある。キラキラとした「機嫌は自分で取らないとね」という光の裏には、影があるんじゃないかって。「不機嫌になった私がいけないのかな」とか「不機嫌になってはいけないのかな」という思いが私の中にあったので、不機嫌という一見ネガティブな言葉がすごく面白いなと思ったんですね。

 不機嫌になるには理由があるわけで、その理由を見つめて自分自身と向き合い、その芽を摘み取ってあげて、ご機嫌になる方が、自分自身も楽になるし良いんじゃないかなと。そういう思いで書き進めていきました。