俳優、バラエティMC、エッセイスト……。マルチタレントとして順調にキャリアを形成していった渡辺満里奈はお笑い芸人ネプチューンの名倉潤と出会い2005年に結婚。芸能界きってのおしどり夫婦の日々のコミュニケーション術、夫を激怒させた「うっかり離婚危機」。渡辺満里奈が「芸人の妻」とは呼ばれない、あまりにも自然体の夫婦生活について聞いた。(全3回の2回目/続きを読む)

渡辺満里奈さん ©佐藤亘/文藝春秋

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「何々すべき」をやめようと思った

――出産や育児はがらっと環境が変わる出来事だと思うのですが、戸惑いを感じたことはありませんでしたか?

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渡辺満里奈さん(以下、渡辺) 私、若い頃は特に子どもが好きだったわけではないんです。でも、初めて姪っ子が生まれた時に「子どもってすごくかわいいな」って。「この子たちを守らないとな」「この子たちの未来をちゃんと明るくしないとな」って思ったんです。

 自分の子どもが生まれたら、もっとそう思った。この子を守って育てて、自分で生きる力をつけてあげることが私の役割だって思っていたので、子育てに関しては、ちゃんと集中してできた気がしますね、仕事をしながらも。

©佐藤亘/文藝春秋

――育児には“正解”がない分、悩んでしまう人も多いですよね。

渡辺 分かります。私も今でも悩みますし、特に子どもが小さいころは頭でっかちに考えてしまったことも多かった。でも、そうなってしまうのは、たぶん頑張りすぎちゃっているからだと思います。

 子どもが生まれたときに実家の母が手伝いに来てくれたんですけど、母は私に輪をかけて大雑把なんですね(笑)。でも、母のやり方がどんなに私と違っても、口を出すのはやめようと思ったんですよ。「手伝いに来てもらっているんだから、絶対に文句を言うのをやめよう」って決めて。

©佐藤亘/文藝春秋

――自分とやり方が違っていても。

渡辺 洗濯の仕方から干し方から畳み方から、何から何まで気になってしまったりもしたんですが(笑)。でも大変な育児の中、母がすごく献身的にサポートしてくれていることはわかるんです。だからこだわりすぎるのはやめよう、任せるところは任せようって思って。

 それと同時に「何々すべき」と思うのをやめようと思った。それは自分自身をすごく苦しめるなって思ったので。