「温厚な夫」を激怒させた“指輪事件”とは?
――おしどり夫婦というイメージがあったので、以前テレビで、“離婚危機”があったとおっしゃっていたのもびっくりしました。
渡辺 それは本当に最初の頃ですね(笑)。2005年の5月5日に婚姻届けを出して、結婚式が10月だったんですが、その間くらい。
彼にとっては初めてくらいの大きい買い物だったと思うんですけど、ハリー・ウィンストンの指輪をもらって。ウェディングドレスに合わせるグローブを作るから手のコピーを取って欲しいって言われていたことを出先で思い出して、近くのコンビニで手のコピー取ったんですね。その時指輪していたらコピーが取れないから指輪を外してコピー機の横のところに置いたんです。で、そのまま外に出ちゃった。それからしばらくして「ああっ!」って気がついて、バーッて戻って、あった……。
その時夫も一緒だったんですけど「どうしたの?」って言われたら、嘘をつけなくて。適当に「財布忘れてきた」とかごまかせばいいのに、嘘つけなくて。「手のコピーとった時に指輪そこに置いちゃってさ」って正直に言ったら、夫は激怒。「こっちは清水の舞台から飛び降りた気持ちで買ったのにそれ置いてくるってどういうことだよ!」みたいになって……(笑)。
挙式直前に「もう離婚になっちゃうかも……」
――まさに挙式の前。
渡辺 「ごめん、それはもう本当にごめん」って一生懸命謝りました(笑)。実際には私が「もう離婚になっちゃうかも……」って勝手に思っていただけなんですけど、温厚な夫をあんなに怒らせたこともないので、テレビで離婚危機って言ったのかな。
――険悪なムードになったのはその時くらいですか?
渡辺 私はうっかりしているので、ほかにもいろいろあったかもしれないですが、覚えてないです(笑)。
「おニャン子クラブに挑戦してみない?」
――「嘘をつけない」渡辺さんが15歳でアイドルになられて。アイドルってそれこそ本心とは別にアイドルとして立ち振る舞うことを求められる職業だと思います。渡辺さんはなぜアイドルになろうと思ったのでしょうか?
渡辺 私、本当にアイドルになりたいと思ったことはなくて……。もともと姉が私の写真を雑誌のオーディションに送ったのが最初でした。うちにたまたま父が買ってきたポラロイドカメラがあったので「ちょっと写真撮ってさ、送ってみようよ」みたいな感じで。
そのオーディションは駄目だったんですけど、その時にスカウトしていただいたんですね。そこでレッスン生をやっていたら「おニャン子クラブに挑戦してみない?」って提案されて。
――そうだったんですね。
渡辺 私は基本的に、言われたらなんでもやるタイプで。流れに身を任せることに抵抗があんまりないんですよ。スカウトされて、「レッスン生として来ませんか」って言われたときも「ああ、はい」だったし、おニャン子クラブのオーディションの時も、私の中に「こういうアイドルになりたい」というビジョンがないから「あ、はい」って。流れに身を任せたら、気づいたら大きな船に乗って、どんぶらこどんぶらこって大海に出ていたというか。
――でもすごく大きな船だったんじゃないですか、おニャン子クラブは。
渡辺 そうなんです。振り返ってみれば、すごく大きな船でした。
撮影=佐藤亘/文藝春秋

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