育児書に頼るのは「もうやめよう」と思った出来事

――なぜそのように思われたのですか。

渡辺 私、最初の妊娠では4~5週目で育たなくなってしまって。2回目の妊娠で長男が生まれたんです。

 1回目の時はすごく不安で不安でしょうがなかった。育児書には「こうするべきだ」とか「ああするべきだ」って書いてあるんです。でも育たなかった時にどうしたらいいかって、それを読んでもちょっとよくわからなかったんですよね。

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 不安なことがものすごくたくさんあっても育児書の中には必ずしも正解が書いてないんだなって痛感した。あの時はマニュアルを読むと、すごく苦しかったです。なので、「もうやめよう」って思って、育児書に頼るのは。

――なるほど。

劇的な変化についていけなかった日々

渡辺 子どもが生まれたその日、パチッとスイッチを切り替えたみたいに生活が一変したんです。それまでの生活から、人が一人増えて、自分のことよりも優先しなきゃいけない存在がいる日々が始まって。子どもはものすごく可愛いんだけど、その変化に気持ちがついていかなかったんです、最初は。想像していなかったストレスがあって。それをストレスと思っちゃう自分がいけないのかなとさらにストレスを溜めて。 

 その頃は毎日甘いものをたくさん食べてしまったり、子どもが寝た深夜にネットショッピングで食器を意味なくいっぱい買ってしまったり。ストレスからの行動だったなぁと今は思います。

©佐藤亘/文藝春秋

――ああ……。

渡辺 何か自分のためにしてあげないと、辛くてバランスが取れない毎日が1ヶ月くらい続きました。結果乳腺炎になっちゃったんですけど、でもあの時はそうせずにはいられなかった。劇的な変化についていけなかった。

――変化に自分がついていけないという点で、出産と更年期は近いのかもしれないですね。

渡辺 そうですね。出産ほど劇的な何かはないけど、少しずつ変化していて。気がついたら物忘れしてるとか、体がうまく動かないとか、疲れやすくなってるとか、眠れなくなってるとか……(笑)。

――ということは更年期においても、やっぱり「すべき」はたぶん敵ですね。

渡辺 そう、ほんとそう思います。

ネプチューンメンバーのドラマにハマった!

――本筋とは全然違うところになるんですが。エッセイの中で満里奈さんが原田泰造さんのドラマ(『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』東海テレビ・フジテレビ系)にハマっていたというくだりに、勝手にすごいキュンとして。ネプチューン世代でもありまして(笑)。 

渡辺 そんなところにキュンとしてくれたんですか?(笑) でも、ドラマ見ていたのは本当にたまたまです。夫は、メンバーが出ているものはちゃんと見ようと思っているみたいなんですけど。私はなんとなく見始めたらすごい面白くって。