「一番夢見ているものは何?」と質問され…

 今、一番関心のある社会問題は? と問われると、「強いて選ぶならガザのことです」と答え、今、社会にもっと必要だと思うことは? と問われると、「関心。無関心は怖いです」と答える(「VOGUE JAPAN」2024年5月31日)。

 表現者として、どういうものに携わりたい? と問われると「世界を良くするものです」と答え、一番夢見ているものは何? と問われると、「世界が良くなること。それしかないです」と断言する(「Bezzy」2024年6月11日)。

2025年エランドール賞新人賞を受賞 ©時事通信社

「戦死して立派だなんてうそっぱちだ」というセリフの意味

 翻って、河合は『あんぱん』で演じる蘭子をどのような役として捉え、朝ドラという日本中の人が注目する作品で表現することにどのような意義を感じているのか。取材会において、自分自身の言葉で明快に語っている。

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「『あんぱん』で描かれている時代では珍しく、蘭子は反戦を表明しています。もしかしたら、のぶよりも頑固かもしれません。絶対曲げない信念を持った人だということも表現したいと思っています。戦後80年の今年、あの時代にノーと言える人を演じることができたのはすごく意義があることだと感じています」

豪役の細田佳央太と(朝ドラ『あんぱん』公式Instagramより)

「反戦は、いま当たり前の価値観であってほしいですが、蘭子の言葉で改めて伝えることは意義があると思いました。『戦死して立派だなんてうそっぱちだ』というセリフは特に大切に感じていました。豪ちゃんは死んでしまったから何も言えない。軍国主義に傾くのぶや世の中に、また、ドラマを通じて今の世界に、私が強い気持ちで伝えないといけない、と感じていました」(「婦人公論.jp」2025年5月21日)

 いつも自分の言葉を持っている河合優実は頼もしい。

「今は『私たちはなぜこの物語をみんなに見せようとしているんだろう』という部分を考えることが大事だと思うし、作品づくりの本質なんだと思っています」(「UOMO」2025年3月24日)と語る彼女が、この先『あんぱん』でどのような演技を見せてくれるのか、また今後どのような作品を選んで出演するのか、楽しみにしたい。

朝ドラ『あんぱん』公式Instagramより
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