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西日本豪雨で交通網が遮断 オリックス球団オペレーターがとった対応とは

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/07/25
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大阪のファンにチケットを渡すため、球団がとった対応とは

 後日、京セラドーム近くのスポーツバーで花木球団PM、そしてコールセンターのメンバーが会食をしていた時のことである。同じ店で食事をしていたファンの方が、花木PMに面白いものを見せたいと鞄の中から何かを取り出した。「入場承認証」と書かれた証書に「7月8日対福岡ソフトバンクホークス」と「席種、入場ゲート」が記載されていた。備考欄には「ユニホーム特典対象」との表記もある。

 何より印象的だったのは発行理由である。「特例」とだけ記載された発行理由、色々な事を検討した結果、あえて降雨災害とか交通網の遮断といった言葉は使わなかったのだろう。そう、出口オペレーターから相談を受けた面々は、それぞれ各方面と対応を協議し、チケットの再発行の代わりに「入場承認証」を5枚発行する事にしたのだ。「大阪の友人達5人」は無事に福岡ソフトバンクホークス戦を観戦出来たのである。

「入場承認証」と、対応した出口オペレーター ©DOMI

 そして、たまたまその「大阪の友人5人」の中の一人と、対応したオペレーターが遭遇する奇跡。彼曰く「コールセンターに相談をした四国の友人が、出口オペレーターの対応に深く感謝していた」「何よりオリックス球団の対応は、Bsファンである事への喜びの再確認になった」そんなファンの声に、半ば涙ぐみながら満足そうな笑顔を見せる出口オペレーター。実は自分もその店にいたのだが、何とも胸の熱い瞬間であった。

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 バーボンを片手に花木PMは言う。「彼女達の仕事は、叱られ、立腹され、時に激しく叱咤されたりと、本当に直接良いお言葉を頂戴する機会の少ない仕事なんです。それでもファンの皆さんの為に、チームの為にと、日々の努力と真心対応を続けてくれている。手前味噌ながら、ウチのコールセンターは本当に誇らしい。間違いなくBsを支えてくれています。だからこそ今日みたいにちょっとだけ報われても良いですよね」。

 選手達も被災地に向けた募金活動を開始した。未だ日常と非日常が交錯する真夏の日本。どうか一日も早く日本中がプロ野球で一喜一憂出来る、そんな平穏な日常が戻りますように。

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