自分を苦しめているものの正体を知る

「理想の母親像」という呪い、ガスライティングやマムシェイミング、「子育ては母親がするもの」「子育ての責任は母親が負うもの」という偏見など、母親へのプレッシャーを増大させ、母親の自信をなくさせる「見えない何か」が、世の中にはたくさん存在しています。

 まずは、こうした自分を苦しめているものの正体を知り、自分を責めて追い詰める必要などないことを理解してほしいと思います。

 私も、忙しい時や体調がすぐれない時、疲れている時などはつい、「なぜ私は、こんな仕事も子育てもうまくやれないのだろう」と自分を責めて落ち込むことがあります。もちろん、自分の言動を顧みて反省し、次に活かすことは大切ですが、必要以上に落ち込み、自分の持つ力を疑ってなかなか立ち上がれなくなるのは問題です。

ADVERTISEMENT

 そんな時には、「これは本当に私が悪いのだろうか」と問い直し、「実は私を苦しめているものは、私の力の足りなさのせいでなく、『ガスライティング』や『マムシェイミング』のせいではないか」「子育ての責任を母親に負わせる社会からの“圧”のせいではないか」と考えてみるようにしています。

写真はイメージ ©getty

 悩みのさなかにある時に、立ち止まって自分を苦しめている社会の圧に心を向けるのは難しいですが、あとでその時のつらさを振り返るタイミングで、少し視点を変えてみることで、少しでもその時の自分に優しい気持ちを持てるようになるのではないかと思います。また、できればこれから母になる女性が、同じつらさを経験しなくて済むように、社会の空気を少しでも変えようと考えてもらえるとうれしいです。

最初から記事を読む 「子どもが自閉症になるのは、母親の冷たい態度のせいだ」なぜ母親ばかりが責められるのか…『育児の不平等』がなくならない日本のマズさ