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丸を「ビッグヘッドさん」と呼んだアドゥワはどうなった?

 カメラが急速ズーム・アウト。となりに立っている丸選手がフレーム・イン。丸選手が小突き飛ばしたようである。丸選手は、おいおい、お前、なんてこと言ってくれちゃってるの? という顔つき。ちなみに「ビッグヘッド」とは、鈴木誠也選手が先輩の丸選手を褒め讃える際に使った「ビッグヘッドモンスター」。丸選手がかつて売り出し中に「顔の大きな丸です」と自分を称していたことが発端ではある。

アドゥワ「(マイクにではなく丸先輩に向かって小声で)すいませ……誠也さんに……ました(申し訳なさそうに何度も頭を下げる)」

丸「(おいおいー、みたいな顔でベンチのほうを目にして笑いながら、なにか口にしているがマイクでは拾えない)」

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アドゥワ「(話をもどして)はい、よかったです」

――あらためて、今日のお客さんの反応、どうでしたか?

アドゥワ「あ、もう、すごく力になりました! ありがとうございます!」

――またのちほど、お伺いします。

 やわらかな拍手が巻き起こる。

――つづいて丸さん、いま、アドゥワさんがビッグヘッドって言ってましたが。

丸「いや、なんか、聞いたら、誠也さんに言わされたって言ってたんで、あとでちょっと。きつく言っときます、はい(クールに語る丸選手のとなりでたいへん申し訳なさそうなアドゥワ投手)」

 球場全体が湧き、拍手、歓声。

杉作J太郎作「誠也さんに言えって…、スンマセン…」 ©杉作J太郎

丸が語る「巨人戦3タテ」

――ただ今日は6対0からの逆転勝ち、この1勝、どんなふうに感じてますか?
丸「はい。今日も諦めない、カープらしい野球ができたと思います(ウンウンとうなずく)」

 一段と大きな拍手、歓声。

――その流れで、まずは1本目。田中選手のホームランがありました。で、菊池選手が出たあとの、あの流れ。打席に入る雰囲気とか、どうでした?

丸「はい、いい流れで打席が回ってきたので、ホームランと言うよりは、しっかりと誠也に繋ぐという思いで打席に立ったんですけど、えー。ほんとにいい結果になってよかったです、はい(キッパリ)」

 拍手と歓声。

――あとは2本目が、また1番から始まって、田中選手倒れてまた菊池選手出てという打席だったんですが、あそこはどんな気持ちだったんでしょう?

丸「いや、もう(アッサリとした感じで)変わらないんですけど、前の打席と。ほんとに、繋ぐ意識を持った結果、最高のスイングができたと(うんうん、とうなずきながら)思います(キッパリ)」

――4月に苦しい、ほんとに悔しいケガがあったと思いますが、ただ6月、7月で、これでホームラン15本! これについてはいかがでしょう?

 拍手と歓声。

丸「まあ、そうですね、ホームランについてはたまたまだと思いますけど、えー、ケガをして、さぼってしまったぶん、ま、全部は取り返せないと思いますけど、なんとか自軍の勝ちに、貢献できるように、一日一日しっかりやっていきたいと思います、はい(キッパリ)」

――丸さん、これで2位ジャイアンツを3タテしてゲーム差8に広がりました。この時期ですが、どんなふうにとらえてますか?

丸「はい、えーとね、やっぱりライバルであるジャイアンツに、地元で3連勝できたことは、自信にしていいと思いますし、ただ、まだまだ先は長いので、ここまで同様、目の前の試合にチーム一丸となって全力で戦っていきたいと思います(うんうんと、確認するように、自分自身に言い聞かせるようにうなずく)」

――ではこの3連戦のあたまが、16日ぶりのホームゲームということになりました。ほんとうにまた、新たな気持ち、いろんな気持ちがあったと思いますが、この3連戦で受けた、ファンの皆さんの激励、歓声、どう受けとめましたか?

丸「やっぱり、広島で、地元で、皆さんの前で野球がやれる幸せをあらためて感じた3連戦だったので、この気持ちを忘れずに、チーム一丸、広島一丸となって戦っていきたいと思います! 応援のほう、よろしくおねがいします」

そしてアドゥワが締めくくる

――では、最後に。丸さん以上のコメントで、アドゥワ投手、初めて(本拠地)のお立ち台締めくくっていただきましょう! この先、ファンの皆さんに、抱負も含めて、よろしくおねがいいたします。

アドゥワ「えー、これからも、暑い季節が続きますが……(目が泳ぐ、観客席からは笑いと拍手)……熱中症には気を付けて、応援をよろしくおねがいします!」

 割れんばかりの歓声、拍手が巻き起こる。

アドゥワ「ありがとうございました!(深く一礼、帽子を脱いでもういちど、深く一礼)」

――丸さん、いまのしめくくりでよかったですね?

丸「完璧です。はい(にっこり)」

 歓声、拍手が響き渡る。

◯ ◯ ◯ 

 今回の原稿は以上です。

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