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敵に侵略をためらわせるために
かくして1228時、轟音とともに砂煙と紅蓮の炎を巻き上げ、対空射撃場の砲座から発射された1発の地対艦ミサイルは陸幕広報室によれば、「想定通り、飛翔、着弾し、事故やトラブルはなかった」という。まずは一安心……とはとても言えぬ。ウクライナやイスラエル同様、周囲を敵国に囲まれた我が国にとってもミサイルの数と質の向上は急務であろう。我が国が保有するミサイルの数は明らかにされていないが、それよりも中朝露が我が国に照準している核弾頭の数のほうが多いのは明らかであろう。
我が国に充分な備えや訓練が済むまで敵が待ってくれればいいが、それこそおめでたいかぎりやろう。我が国が再び戦禍にまみれることのなき唯一の法は、総火演にしろ、今回の地対艦ミサイル実射訓練にしろ、強力な武器を適切に取り扱い、最大限の効果を発揮させる自衛隊員の練度と優秀さを誇示し、敵に侵略をためらわせることだろう。ウクライナや中東での戦争を見ても話し合いや平和憲法を説きさえすれば、戦禍が避けられるというのは、果たして正しいのか。
撮影 宮嶋茂樹

