今年もやってきました。富士総合火力演習、略して総火演(そうかえん)の季節、大は155ミリ榴弾砲から小は20式小銃まで国内最大の実弾を使用しての射撃演習である。

©宮嶋茂樹

部内教育に主眼を置いたため、より実戦的になった総火演

 かつては8月末に数十倍の競争率を突破し、選ばれた数万人の一般市民も招き数日に渡って繰り広げられた日本の夏の風物詩でもあったが、4年前のコロナ禍の影響で5月になり、一般公開も中止、今年に至ってはライブ配信もやめて、部内の教育に主眼を置いたため内容もかなり実戦的になった。

 以前から、観客席から感嘆の声が上がっていた特科(砲兵)火力の一斉曳火射撃により富士山をバックに空中爆発の炎で富士山を描いたり、フィナーレで戦車と航空部隊が照明弾を上げながら、同時に進撃してくるという、カメラマンにとっては絵になるシーンは無し、また74式戦車の勇姿ももはや見る事は叶わず、代わってタイヤ履きの16式機動戦闘車(ひとろくMCV)がブイブイ言わせるようになった。

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 加えて本州では唯一の実働部隊でなく、教育部隊だが、90式、10式戦車の実弾射撃が見られる貴重な機会となった。総火演は生が一番、飛び交う実弾、轟く砲音(つつおと)、肌を焦がす衝撃波は娑婆の人間からしたら、ここ富士でしか味わえんかったのである。

©宮嶋茂樹

 さらに昨年11月の米空軍機の事故以来飛行停止が続いていたティルトローター機オスプレイや新型多用途ヘリUH-2も本演習のヘリボーン作戦に参加した。しかしそんな高価で強力な兵器より、より頻繁に登場したのはUAV(無人機)ドローンの「スカイレンジャー」であった。