今年度中に配備される能力向上型12式地対艦誘導弾の威力

 この頼もしい12式地対艦誘導弾の能力向上型などが今年度中に島嶼部などに配備されるというのである。しかし、射程が長い長所は短所でもあった。あまりに射程が長すぎるため、せまい日本国内の演習場では射撃できなかったのである。これまた安全や周辺国に配慮せざるをえない民主国家の長所でもあり短所でもあった。

 

 北朝鮮が日本海、いや日本列島に向けて何のためらいもなくバンバン弾道ミサイルぶっ放しとるのにである。2017年には北朝鮮が発射した弾道ミサイルが北海道上空を通過したのち東方沖合2000kmの太平洋上に落下したのである。さらに、つい3年前(2022年)のことである。中国が放った弾道ミサイル5発が沖縄県波照間島沖合のEEZ(排他的経済水域)に落下しとるのである。途中札幌市内に落下しようが、船舶に命中して日本人に被害がでようがお構いなしやったのである。それなのに我が国は敵ミサイルを迎撃どころか、我が方の地対艦ミサイルの実射訓練すらできなかったのである。

国内初の地対艦誘導弾実射訓練に挑むものの…

 かくして、我が国もやっと国内で初の地対艦誘導弾実射訓練に挑むこととなった。時は6月24日。所は梅雨のない北海道の新ひだか町の陸上自衛隊静内対空射撃場に同じく北海道は千歳に構える第1地対艦ミサイル連隊員など約300人が駆けつけた。目標は射撃場南西沖合半径40km圏内の標的船である。

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 それでも、国内初の地対艦ミサイル発射で使用されたのは、1000kmという超長射程が自慢の12式地対艦誘導弾の能力向上型ではなく、射程が100~150kmと言われる88式地対艦誘導弾なのである。しかも弾頭も通常ではなく、炸薬を抜いた演習弾である。さらにしかもロケット燃料も減らして。もひとつしかも、標的までの半径40km圏内に漁船やプレジャー・ボートが近づかぬよう、自衛隊は何隻もの警戒監視船まで出し、安全を図っていたのである。