ピン東界隈住人への道

 法律はすっかり忘れて麻雀に目覚めたプロプーさんは、リアル麻雀も経験しようとオープンしたばかりの赤羽にあるフリー雀荘で裏メン(打ち子とも言う)を始めた。ここは赤羽という立地ながらも歌舞伎町ルールの東風戦の店だった。

写真はイメージ ©getty

 裏メンとは裏メンバーの略だ。フリー雀荘の従業員の業務から接客要素を除外したもので、ただ麻雀を打つだけ。フリー雀荘は4人単位で卓を組んでいくから、余剰人員がいないと卓組みが回らない。一般的にはメンバーと呼ばれる従業員が穴埋め要員も兼ねるものだが、それとは別に麻雀を打つだけの要員も雇うことはよくある。一般的にレートが高くなるほど店が裏メンを雇っていることは多い。

 裏メンは楽しかった。ほぼ初めての労働体験で、これなら働けると思った。だが始めて1か月あまりの時期に、歌舞伎町の宝石店でメンバーを募集していた。どうせなら最高峰を経験してみたい。そんな気持ちから宝石店に行って体験で打ってみたら1時間半で十数万円負けた。かつて経験ない負け方にビビった。それでも最高峰への憧れが勝った。こういうときに手持ち資金の余裕は大きい。雀力の前にまず金力という部分はある。こうして宝石店のメンバーとなり、そのあと裏メンに変更した。

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「メンバーをやってみたら社会不適合者すぎてきつかったです。麻雀を打ちながら、お客さんに飲み物の注文を聞くとか店内に気を配れません。お客さんにおにぎりを作ってくれと頼まれたことがあって、そのとき別のおにぎりにするという発想がなくて鮭と昆布を一緒に入れちゃったんですよ。料理なんてしたことないからわからなかったんですよね。あとで食べたらすごく不味かったです。だからメンバーは辞めて裏メンにしてもらいました」

次の記事に続く 「今年1月には150万円負けました」なぜ“普通に働けない”のか…? 仮想通貨と遊戯王カードで2000万円を稼いだ若者→今は「歌舞伎町の雀士」として生きる理由