――『ルパンVS複製人間(クローン)』は、当時としてはかなり先鋭的で、言わば“トバした”作品でしたが、小池監督はどうご覧になっていましたか?

小池 最初に観た時はまだ幼かったので、「どういうこと?」という感じでしたが、大人になって改めて観るとやはり傑作でしたね。当時のSFの要素や政治の裏の世界も、もしかしたら「本当に実在するんじゃないか?」みたいな臭わせ方が上手い。「大人の映画を観た」という感動がありました。

原作:モンキー・パンチ ©TMS

影響を受けたアニメーターや作品

――『ルパンVS複製人間(クローン)』は絵柄もやはりアダルトで、どちらかと言えば原作マンガに近いキャラクターでしたね。外連味のある作画タッチにファンが多い小池監督ですが、強く影響を受けたアニメーターを挙げていただくとしたら?

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小池 金田伊功さん(かなだ・よしのり。劇場版『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ、劇場版『銀河鉄道999』シリーズ、『幻魔大戦』、『風の谷のナウシカ』などの原画を手掛けた)ですね。金田さんの画には、常に気持ちに引っかかるような動きの外連味があった。「こんな画を描ける人がいるのか」と衝撃を受けました。一方で、よりリアル目な画も好きだったので、杉野昭夫さん(代表作『あしたのジョー』、『エースをねらえ!』、『家なき子』など)、川尻善昭さん(代表作『妖獣都市』、『バンパイアハンターD』など)からも影響を受けました。御三方からの影響を自分なりにミックスして、現在の自分が出来上がっているような気がします。

――実写映画で影響を受けた作品は?

小池 『マッドマックス』(1979年)と『マッドマックス2』(1981年)ですね。世界観が全く違うけど、監督は同じジョージ・ミラーですが、舞台設定もメッセージも全く異なる見せ方というアプローチも素晴らしかった。ほかにも、『ザ・ドライバー』(1978年)や『ゴッドファーザー』(1972年)も。アメリカン・ニューシネマでは、『地獄の黙示録』(1979年)、『バニシング・ポイント』(1971年)が好きです。「映画って、こんなことやっていいんだ?」という刺激を受けて、自分でも何か作りたいという欲求にかられました。