1996年に公開された映画『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』以来約30年ぶりとなる、完全新作の2D劇場版アニメーション『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』。監督を務めた小池健が語る作品の魅力とは……。(全3回の2回目/1回目を読む、3回目を読む)

原作:モンキー・パンチ ©TMS

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撮影 橋本篤/文藝春秋

物語の舞台は“謎の島”

――『LUPIN THE IIIRD』シリーズは、現在公開中の劇場用作品『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』で完結を迎えます。物語の舞台は世界地図に載っていない“謎の島”です。

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小池健(以下、小池) 映画『ドクター・モローの島』のような、そこで何か不可解な事が行われているような島をイメージしました。

――ルパンたちが対峙するのは、謎に包まれた不死身の敵・ムオム(CV・片岡愛之助)です。

小池 石井(克人。クリエイティブ・アドバイザー)さんのアイデアで、映画『プロメテウス』に出てきたような、細長い頭を持つ異星人や白い巨人のような印象のキャラがいいんじゃないかと。何せ不死身なので、フィジカル面では無敵。しかし、その島からは出られない。その制限の理由に物語の結末へと繋がる道筋、つまりムオム自体が島そのものという仕掛けを設けることで、ムオムの存在に意味を持たせています。

――ここからはスポイラー(ネタバレ)を含みますが、本作には、1978年公開の映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)』(監督 吉川惣司)の人気敵役キャラ・マモーが登場します。つまり、『不死身の血族』は『ルパンVS複製人間(クローン)』に繋がっていく。ムオムはマモーには無い“フィジカルな強さ”を持ったマモーのクローンです。

原作:モンキー・パンチ ©TMS

小池 高橋悠也さんがまとめてくれた台本を最初に読んだ時は、「なるほど、そうきたか」と驚かされました。今思うと、『ルパンVS複製人間(クローン)』のオリジナルのマモー、つまり、巨大なカプセルの中に入った脳みその存在がヒントになりました。じゃあムオムも、もしかしたらデカくていいんじゃないか、それなら島の一部にしようと考えてくださったようです。そういった説明は特に高橋さんから受けてはいないんですが。