劇場公開中の映画『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』で監督を務めた小池健。足掛け12年、『LUPIN THE IIIRD』シリーズを作り続けた監督が、これまでの歩みを振り返った。(全3回の1回目/2回目を読む、3回目を読む)

原作:モンキー・パンチ ©TMS

◆◆◆

小池健監督 撮影 橋本篤/文藝春秋

シリーズ完結編まで辿り着いた心境は

――2014年、『次元大介の墓標』を皮切りにスタートしたOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)の『LUPIN THE IIIRD』シリーズですが、2017年の『血煙の石川五ェ門』、2019年の『峰不二子の嘘』と続き、先頃、各種配信プラットフォームから公開された『銭形と2人のルパン』と先日ロードショーを迎えた劇場用作品『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』まで、制作開始から数えると足掛け11年のシリーズとなりましたが、現在の心境は?

ADVERTISEMENT

小池健(以下、小池) 「終わったのか」という感慨はありますね。まさかこんなに長い付き合いになるとは思っていませんでした。まず、2012年のテレビシリーズ『LUPIN the Third ~峰不二子という女~』でキャラクターデザインと作画監督を務めたことをきっかけに、プロデューサーの浄園祐さんから、「小池さんの画でルパンの監督をやってみませんか? ご興味はありますか?」という話を振られ、「存分にあります」と即答しました。確か、東京・中野の蕎麦屋でしたね(笑)。

――小池監督の『ルパン三世』体験は?

小池 地上波の再放送でしたね。昔は夕方に繰り返しやっていたので。僕自身、『ルパン三世』作品が大好きで、なかでもモンキー・パンチ先生の原作マンガやTVシリーズのファーストルパン(『ルパン三世PART1』1971~1972年放送)が持っていたアダルトなテイストが好きだったので、自分もそういう作風のルパンをやってみたいと希望しました。

――1作目で次元大介にスポットを当てた理由は?

小池 『峰不二子という女』の時、次元の主役回の視聴率が良かったんです。そこで、まずは1本、次元を主役に全力で作ってみようと。

原作:モンキー・パンチ ©TMS

――最初からキャラクター全員分の物語をやると決まっていたわけではなかったんですか?

小池 最初から決まっていたと思われているかたも多いようですが、やはり、次作はある程度の好評を得られないと作らせてもらえません(笑)。何より、ルパンはアニメーターや監督含めて、多くのクリエイターにとって“特別”な存在ですから。要は、みんな一度は、「自分ならこう」というルパンをやりたいんですよ。