前回のW杯の敗因は
阿川 指揮官としては、どこでミスをして、勝てたはずの試合を落としたと分析なさったんですか。
森保 カタールのときは、グループリーグでドイツとスペインに勝っていたんですよ。そのときの戦い方とクロアチア戦の戦い方はすこし違ったんです。ドイツ戦やスペイン戦はより「相手のことも考えながら」戦っていた。相手のよさを出させず自分たちのよさを出して勝っていけたのが、クロアチアのときは「自分たちがこうする」ということが大きくなってしまって。
阿川 メンタルの部分ですか。
森保 メンタル的にも、戦術的にも、だと思います。「いい守備からいい攻撃に」というチームコンセプトで戦っているんですけど、ドイツとスペインのときは粘り強く守備をしながら攻撃に移っていけた。でもクロアチア戦は、自分たちが攻撃の主導権を握って勝つという考え方になっていたんです。ちょっとしたことなんですけど、データでも出ていて。コンパクトに組織的に戦うということがクロアチア戦はできなかった。ボクシングでいうと、ガードを固めてチャンスを狙っていくよりも、ノーガードの打ち合いに持っていく感じになってしまったんです。
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