まず外交や安全保障・憲法の分野で比較する。「日本の防衛力はもっと強化すべきだ」「憲法改正は必要だ」「日本にとって中国は脅威である」との質問には、それぞれ賛成とする。自民党や日本維新の会とそっくりである。
一方、両党と違うのは日米安保体制への考え方で、自民党や日本維新の会、公明党は「危機のときのアメリカによる協力を確実にするため、日米安保体制をもっと強化すべきだ」との意見に近いが、参政党はどちらかといえば「日本と関係ない戦争に巻き込まれないように、日米安保体制の強化には慎重であるべきだ」との考えに近く、立憲民主党よりも日米安保体制の強化に慎重な立場だ。また、「首相の靖国参拝」では他党より強い特徴がある。自民や維新はやや賛成の立場であるが、参政党は賛成に振り切っている。
既存政党と異なる「反米保守」アピール
社会問題のテーマでは、参政党の「ジェンダー平等」への反対姿勢が際立つ。選択的夫婦別姓への賛否では、立憲や維新、公明、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党が賛成寄りの立ち位置で、自民はほぼ真ん中であるのに対し、参政だけが明確に反対の立場を取っている。
同性婚を法律で認めるべきかどうかについては、参政以外の政党は夫婦別姓と同じポジションか、それよりわずかだけ反対寄りにずれただけなのに対し、参政は夫婦別姓と同様に強い反対を示す。「国会議員の議席や候補者の一定割合を女性に割り当てるクオータ制を導入すべきだ」という考えに対する賛否では、自民や維新が真ん中、立憲などが賛成の立場を取る中、参政だけが反対の立ち位置にいる。
つまり、参政は、防衛力は強化すべきであり、憲法改正は必要であり、中国は脅威であるとして自民、維新という保守政党を自認する両党と同じような立場を取る一方、米国に対するスタンスが全く違う。自民、維新が「親米路線」を取るのに対し、参政党は少なくとも、その路線とは距離を置く。さらに、米国が強く反発する首相の靖国参拝に強い賛成の立場を取ることを考えれば「反米路線」と言えるかもしれない。社会問題に目を転じれば、強い保守思想を示しており、政界で一時は“絶滅危惧種”となった「反米保守」の立場と言えそうだ。