女子高校生たちの“取り分”は…

 検察官からは「女の子の受け皿になるだけでなく、自分も稼げてWin-Winと思ったのでは」と厳しい質問もあった。確かに、瀧本がグループを結成した理由は、女性の不満を解消するというだけでなく、もう一つある。以前の組織から脱退する際、罰金を払うよう言われたのだ。

 内容に後ろめたさがあるものの、罰金を支払うために再び援デリ斡旋に手を染めてしまった瀧本。「あくまで仕事をしたいと言ったのは向こう(女子高校生AとBの2人)なので。女の子の意見を聞いて一緒にやっている感じで、稼げたことに『ありがとう』とも言われた。斡旋してあげてよかったのかなと感じています」と答えた。

 売春行為では客1人当たり1万5000円から2万円を集めていた。余罪を含め、Aは109人を相手にして総額181万円、Bは28人を相手に45万円を売り上げたとされる。

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 そこから、AとBの取り分が自分たちより多くなるように割り振っていた、と瀧本は主張する。もともと新山と援デリグループを始めたきっかけを考えると、妥当ではある。しかし、新山の弁護人からの質問で、Aから報酬が少ないというクレームがあったことが明らかになった。

「言ってくれたら巻き込まなかったのに」

 それにしても、なぜ過酷な“売春行脚”に女子高校生をスカウトしたのか。瀧本はA、Bともに「未成年だと思わなかった」とした上で、Aに声をかけた際は「年齢が聞き取れなかった」、BとSNSでやり取りした際は「年齢を詐称されていた」と主張する。一応、身分証の提示も求めたが「家出をしていて親と会いたくないので、取りに行けない」と言われたという。

 その他、18歳以下ではないと判断した根拠として「18歳以上でないと入れない“メンコン”に行っていると聞いたし、夜の店で働いてるとも言っていました」と彼女たちの発言を示した。Bが年齢を詐称していたことについては「なんで嘘をついていたんかな。正直に言ってくれたら巻き込まなかったのに」と悪びれもせず飄々と話す。ただ、瀧本自体も年齢確認が不足していた起訴事実を否認しているわけではない点は付言しておく。

※メンズコンセプトカフェの略。ホストクラブとは異なる業種の男性キャストからのサービスを楽しむ店舗。入店の年齢制限は店舗による。

 瀧本の生育環境も、A・Bをスカウトしたことに影響しているかもしれない。

 裁判で詳細は明らかにならなかったが、瀧本は2歳のときに父親がいなくなり、母親もおらず事件当時も祖母と生活していた。複雑な家庭環境で育ったことで、家出をしていたAとBに感情移入して「一緒にいてあげたいと思ってしまいました」と主張する。

「AとBの家族には、申し訳なく思っています。会えるなら頭を下げます。ただ、2人とも家出をしていた。まだ若いからこそ、親が近くにいてあげてほしいと思います」(瀧本)

 それでも、女子高校生から「しんどい」と言われながら売春を続けさせたのは言語道断だ。この点、瀧本は次のように主張する。