「リバイバルプラン」と重なる

 リストラを徹底して無駄を排して経営スピードを上げる。これは、経営に邁進していた頃のゴーン元会長の「得意技」だ。筆者は朝日新聞経済部記者だった1998年7月に日産の担当になり、ゴーン氏が来る直前の日産の窮状も、氏が主導した「リバイバルプラン」もつぶさに取材した。26年前と今の日産には、ブランド力が低下して車が売れなくなった結果、過剰設備に喘いでいる点などで重なる部分がある。

1999年に「リバイバルプラン」を発表したカルロス・ゴーン氏 Ⓒ時事通信社

「リバイバルプラン」の内容は次のようなものだった。

 (1)全従業員の14%に当たる2万1000人削減、(2)国内生産能力30%削減、(3)プラットフォームを24から12に削減、(4)1兆円のコスト削減、(5)取引先を1145社から600社に削減。その内容や規模感は、「Re:NISSAN」と重なり、改革の手法も似ている。

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 さらに「リバイバルプラン」では、開発や販売の部門で九つのクロスファンクショナル(機能横断)チームが設けられた。今回の「Re:NISSAN」でも部品購入費や開発費などの変動費を削減する「迅速対応チーム」において、「クロスファンクショナルかつ、クロスリージョナル(地域横断)に専門家を300人集めて対応している」(日産幹部)という。同チームでは、日産固有の古い開発基準の見直しや取引先の集約、在庫削減など21の活動に主眼が置かれている。

 エスピノーサ氏に「リバイバルプラン」を意識しているか、問うと、意外な答えが返ってきた。

「全然意識していない。正直に申し上げて、『Re:NISSAN』の『Re』には色々な意味がある。門構えを見直す『リサイジング』や、削減の『リデューシング』、改めてエネルギーを注入する『リエナジャイジング』。いろんな言葉を考えてみたが、新しいスタート感もあるのでこの言葉を選んだ」

本記事の全文(約7000字)は、文藝春秋8月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(井上久男「日産新社長インタビュー エスピノーサさん、本当に再建できますか」)。

全文では、以下の内容をお読みいただけます。
・新型「e-POWER」が復活のカギ
・一般社員用の食堂でランチ
・ホンダとの再交渉は?
・ホンダの三部社長とサシで会談

出典元

文藝春秋

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