ホークスに決めた最大の理由は「金額や条件ではない」
ただ、当時の僕の立場からメジャーのチームが先発として必要としてくれる確率が低いことはわかっていました。メッツからのオファーがあったとしても、僕に順番が回ってくるのは時期的に遅くなりますし、それを待つことはできませんでした。日本の球団からは早い時期にオファーをいただいたこともあって、その誠意に応えるためにもキャンプインまで結論を先延ばしにするのはあり得ないと思っていました。
声をかけてくれた日本の球団はいくつかありました。(古巣の)ライオンズからはオファーがなく、そこに寂しさはありましたね……あのときにライオンズから声をかけていただければ迷うことはなかったと思います。
ドラフトでは抽選の結果、ライオンズへ行くことになりましたが、当時、行きたいと思っていたのはベイスターズでしたから、心の中で、もしかしたらベイスターズへ行くのはこのタイミングなのかな、と勝手に思ったこともありました。
でも、残念ながら横浜とは縁がなく……ホークスに決めた最大の理由は金額を含めた条件ではありません。人の気持ちを動かすのは言葉なんです。
ホークスの人はチームのビジョンや10年先のイメージについても細かく話をしてくれて、最後に「若い選手の壁になってほしい」と言ってくれました。僕が選べるのはひとつですし、だから言葉の力をより強く感じさせてくれたホークスを選んだ、ということだったと思います。
メジャーから日本へ戻るにあたって、アジャストすることに不安はありませんでした。もちろん気になることはいくつかありました。
ボールも違うし、マウンドの硬さも変わる……自分がいたときと比べて日本のマウンドもかなり硬くなっているという話でしたが、それでも日本へ戻るとマウンドの柔らかさに苦しむという話はいろんな人から聞いていました。ただ、経験がないわけじゃないので、すぐに慣れるだろうし、柔らかいマウンドでの投げ方はすぐに身体が思い出してくれると思っていました。