サモ・ハン&ジャッキーの『スパルタンX』の衝撃
リム スタントマンが活躍する香港アクション映画の中で、ベスト5を挙げるとしたらどの作品になりますか?
テレンス 難しい質問ですね(笑)。『スパルタンX』(1984)、『スウォーズマン/剣士列伝』(1990)、『格闘飛龍・方世玉』(1993)、『SPL/狼よ静かに死ね』(2005)、あとは『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』を入れてもいいですか?(笑)
リム もちろんです。サモ・ハンが監督した『スパルタンX』を選んだのは意外ですね。かなり古い映画で、実は僕も大好きです。
テレンス 『スパルタンX』は、アクション映画のひとつのマイルストーンだと思います。この映画はかなり古い作品なんですけど、実はフィリップに教えてもらって初めて観ました。彼曰く、この映画のアクションは、当時多くの人たちに強い衝撃を与えたそうです。その後の香港アクション映画は「これを超えられるかどうか」が基準として意識されているみたいですね。
実は、今挙げたアクション映画たちは、アメリカのアクション映画にも大きな影響を与えたと思っています。たとえば、タランティーノの『キル・ビル』には、80年代、90年代の香港アクション映画の影が見えますし、『マトリックス』もそうですよね。
アクションというのは、物語の中でどう機能するかが、その国のカルチャーとも深く関係していて、たとえ影響を受けていたとしても、最終的に出来上がったスタイルはやっぱりそれぞれ違ってくるんだと思います。
(このインタビューの未公開部分を含めたロングバージョンが9月発売の「週刊文春CINEMA2025秋号」に掲載される予定です)
『スタントマン 武替道』
1980年代、売れっ子アクション監督だったサム(トン・ワイ)は、映画の撮影中の事故がきっかけで業界を離れ、今は整骨院を営み静かに暮らしている。そんな中、かつての仕事仲間に「自分の最後の作品でアクション監督をやってほしい」と依頼され、数十年ぶりに復帰することに。しかし現代のアクション映画の撮影はコンプライアンスも厳しく、出演俳優のワイ(フィリップ・ン)を始め製作陣はリアリティを追求するサムのやり方に反発。さらに忙しさのあまり娘チェリー(セシリア・チョイ)との関係も悪くなる。サムのアシスタントとなった若手スタントマンのロン(テレンス・ラウ)は、サムを献身的にフォローし何とか撮影を進めようとするのだが……。
監督:アルバート・レオン&ハーバート・レオン/出演:トン・ワイ、テレンス・ラウ、フィリップ・ン、セシリア・チョイ/2024年/香港/配給:ツイン/公式X:@Stuntman_filmJP/公式サイト:stuntman-movie.com/©2024 Stuntman Film Production Co. Ltd. ALL RIGHTS RESERVED./7月25日(金)より全国公開

