「父親なら誰でもやるはずだ」
3月16日、空港で待ち伏せしていたゲイリーは、ドーセが目の前を通り過ぎようとした瞬間、背後から発砲した。慌てて取り押さえられた彼は警察官に「あいつがあんたの家族にそんなことをすれば、あんただって同じことをしたはずだ。あんたは知らないのか、あいつが、ジョディに何をしたのか。父親なら誰でもやるはずだ。俺はそうせずにはいられなかったんだ!」と叫んだ。
銃撃の様子はその日のうちに全米で報道され、国民はゲイリーに深い同情を寄せた。世論の後押しもあり、彼は執行猶予7年、保護観察5年と300時間の社会奉仕義務という比較的軽い刑罰となった。
一方、ジョディはドーセの死を悲しみ、父親の行動に怒りを覚えていた。ドーセによるマインドコントロールが解けていなかったのだ。しかし、成人したころにようやく洗脳から解放され、父親とともにテレビに出演して事件を振り返った。
父の死から5年後の2019年、ジョディは事件の全容を語った自伝を出版。2024年のインタビューでは、ゲイリーを「史上最高の父親」とみなしていると語った。
幼い息子を守るための父親の極端な行動は、アメリカ社会に大きな議論を巻き起こし、今なお「父親の正義」をめぐる複雑な感情を呼び起こす事件として人々の記憶に残っている。
◆◆◆
この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。
次のページ 写真ページはこちら