昨年の衆院選不出馬で国会議員を引退した自民党元幹事長の二階俊博氏。参院選の行方から、「ブラックボックス」と批判された約50億円の政策活動費まで国民の関心事に二階氏が本音で答えた。聞き手を務めたのは、二階氏と40年来の付き合いがある政治解説者の篠原文也氏だ。
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「安易に消費税減税を語るべきではありません」
――参院選の結果にもよりますが、いずれ連立の組み替えも必要になってくるかもしれません。例えば、自公連立の枠組みに国民民主党も加えて、政権を安定させることも選択肢の一つなのでは。
二階 今の自公でさえ、「これで完璧だ」と、ぎっちり握れていないでしょう。それを踏まえると、なかなか難しいんじゃないでしょうか。立憲民主党との大連立も一つの方法だけどね。ただ、それは参院選の結果が大きく影響しますから、選挙後の情勢次第でしょう。
――参院選に向けた与野党の争点が物価高対策としての消費税減税です。引き下げを訴える野党に対し、自民党は公明党と共に、公約に消費税減税ではなく、現金給付を盛り込みました。
二階 “一時の風”として、消費税減税ほど心地よいものはありません。ただ、みなさん忘れっぽい。1989年に消費税を導入するまで、どれだけ苦労したか。消費税なしで済めば一番いいが、財源をどこで確保するのか。それを示せない者が、安易に消費税減税を語るべきではありません。
50億円の使い道は?
――参院選の投開票が控える中、自民党が状況を打開する策はありますか?
二階 できるだけ多く、党内の意見を吸い上げることです。ただ最近は、やれ官邸だ、やれ党本部だと、一日中、会議で忙殺されてしまう。そこから国民の心が躍るような政策は出てこないでしょう。
――引退のきっかけは、二階派(志帥会)の政治資金パーティを巡る不記載問題ですね。起訴されていない政治家の中では、二階さんの不記載額が約3500万円と最も多く、秘書は略式起訴されました。
二階 会計は事務方に任せていましたが、監督者として政治的責任はあるので、けじめをつけました。意図的に不記載をしたわけではありませんが、自ら責任を取ろうと思ったのです。
――政党が議員に支出する政策活動費は使途公開の義務がなく「ブラックボックス」と批判され、昨年廃止が決まりました。二階さんは幹事長時代の5年2カ月で約50億円を受け取ったと報じられています。
二階 あの報道は誤解を招くものですよ。確かに約48億円を支出しましたが、ほとんどは衆院選や参院選、地方選挙に使いました。私の懐にはビタ一文、入っていません。
――1人の公認候補者に1億5000万円使うこともありましたが、幹事長の采配として許されていた?
二階 時の総理に相談することもありましたが、伝統的に、幹事長が支出する選挙資金は他からチェックされるものではない。ただ、個人ではなく公の金ですから、常に説明がつくようにしなければなりません。
※本記事の全文(約7800字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年8月号に掲載されています(二階俊博「消費減税は心地よい一時の風」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
出典元
【文藝春秋 目次】永久保存版 戦後80周年記念大特集 戦後80年の偉大なる変人才人/総力取材 長嶋茂雄33人の証言 原辰徳、森祇晶、青山祐子ほか
2025年8月号
2025年7月9日 発売
1700円(税込)


