韓国では、飲食店が観光客用の“インバウンド価格”を設定することは日本ほど多くないが、観光客を狙ったボッタクリ行為は各地で炎上している。
済州島は離島なので、輸送費のため本土より物価が高いと昔からいわれてきたが、近年はそれに拍車がかかっている。2024年には、国内の旅行者が済州島名物の黒豚サムギョプサルを注文したところ、ほとんど脂身だらけで14万7000ウォン(約1万6000円)取られたというSNSの投稿が炎上。今年3月には、韓国式腸詰めを炒めた屋台のジャンク料理がたった6切れで2万5000ウォン(2700円)という書き込みが怒りを買った。
韓国の消費者はこうしたネットの風評に敏感だ。済州島は今年の1月~3月で、国内観光客の支出額が前年の同時期と比べて19.0%減少。観光客の多くが日本旅行に流れたと報じられ、現地の観光産業を落胆させた。
さらに今年7月に流れた「大災害騒動」も、済州島に追い討ちをかけた。もともと済州島の宿泊付きゴルフパック旅行は各種追加料金が割高といわれていたが、日本旅行の航空券やホテルが暴落したことで済州島より安いツアーが現れ、済州島の割高感が強まったのだ。
かと思えば、外国人と韓国人のグループが海外からの観光客に高額な料金を要求する違法な観光ガイドや白タクで摘発される例も後を絶たない。国内メディアには “韓国人にそっぽを向かれ、今度は外国人相手にぼったくり” などと書かれる始末だ。
「日本からの観光客がまた増えてくれればいいのに……」
中国人団体観光客へのビザ免除は当初7月に始まると言われていたが、14日時点では開始時期などは発表されていない。旅行業界は “10月の国慶節需要に間に合わないのでは” と気を揉んでいる状態だという。
もともと中国人のビザが免除されていた済州島はアドバンテージを失う形だが、地元からはむしろほっとしたという声も聞かれる。済州島を埋め尽くしていた中国人観光客がよそに流れることで、国内の旅行者が増えたり、「日本からの観光客がまた増えてくれればいいのに……」という期待もあるようだ。
今年3月には、済州島を舞台にした韓国ドラマ「おつかれさま」がNetflixで大ヒット。おかげで今年は日本からの旅行者も、いっそうの伸びが期待される。ドラマで海外視聴者を感動させた済州島のたくましい庶民たちは、外国人観光客との共存の道を模索している。
